ITSを疑う

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参宮橋実験の嘘

2006年11月02日 | ITS
国交省は、「スマートウェイ(知能道路)」の取り組みとしてスマートウェイ推進会議を進めている。来る11月7日、その第7回作業部会が開かれる。

今回の作業部会はいわゆる「参宮橋実験」の「成功」を踏まえ、通信を使った安全運転支援サービス等の公道実験について議論をすることになる。

参宮橋実験とは、首都高速の事故多発カーブである首都高4号線「参宮橋カーブ」に、カーブ先の渋滞を関知するセンサーを設置し、その情報を手前を通過したビーコンVICS装着車のナビ画面に流す、というものだ。

タイトルに過激な「嘘」という言葉を使ったのは、以下の通りの理由だ。

上記の作業部会に関するリンク先に
「首都高速道路4号新宿線の参宮橋カーブにおいて安全運転支援サービスの社会実験を実施し、事故件数が大幅に減少する効果が表れています。」

と明記されている。そして、アップした画像でわかるとおり、たしかに平成17年1月から当該カーブにおける事故は明らかに減少している。

しかし、ここを見て欲しい。

こう書いてある。
「平成17年3月~5月の3ヶ月間で一旦サービスを休止しておりましたが、このシステムの効果が確認されたことを踏まえ、9月21日より約1年間の予定でサービスを再開いたしました。」

つまり、平成17年5月から9月の間はサービスをしていないのだ。
しかしグラフで明らかな通り、その期間も事故は明らかに減少している。

つまり、これはこういうことなのだとしか考えられない。
VICSでの告知を行うと同時に、電光掲示板を改善した。さらに、カーブ手前に赤いストライプ状の警告ペイントを施している。明らかに「事故多発カーブ」とドライバーが認識するような路側表示の改善が行われているのだ。そして、グラフが示しているとおり事故が減ったのは主にそれが理由なのではないか。

国交省はこの実験で「通信による安全運転支援サービスで事故が減った」と言い張り、さらに拡大しようとしている。
しかし、ビーコンVICSを装着しているクルマは10%以下なのだ。

通常の路側表示の改善で事故の危険は減少する。
それなのにITSの名の下に「特定のクルマにしか表示されない安全運転支援」を「税金を投入」して拡大しようとしているとしたら、大きな問題だと思う。