近所の農地に見事な桐の木があり、
近くを通る幹線道路からもその威容を確認することが出来る。
その桐の大木が今満開の花を付けている。
幹線道路から農道に入って行くと、まさに見上げるような巨木で、
少し離れなければカメラには収まらない。
で・・・・・
上の写真の左下に軽トラックの一部が写っているように、
この農地の持ち主であるご夫婦がちょうど休憩中だったので、
失礼とは思いながら声をかけてみた。
これまでにこの桐の木以上の幹周りのものを見たことはなく、
もしかすると知っているかもしれない樹齢が知りたかったのである。
直ぐに判明した。
奥さんの話によると、旦那の妹が生まれたときに両親によって植樹され、
そのうちの1本が残ったと言うのである。
六十数年の樹齢だった。
私が子供の頃、本家の畑に十数本の桐の木が植えられており、
その桐も従姉妹が生まれたときに植えられたものだと聞いたことがある。
従姉妹が成人して嫁に行く時は、
成長した桐の木で「桐箪笥を作って嫁入り道具」にするのだと・・・・
この大木も親の娘への愛情が込められたものであり、
そのことを思えば、
単に自然発生的な桐の大木では無かったと言う見方も出来るのである。
さらに個人的には、私が子供の頃見た桐の木と殆ど同じ頃の植樹であり、
何となく親しみさえも覚えた。
それにしても見事な花の付き方である。
説明をしていただいた奥さんの話によると、
今年は特に多くの花を付けていて、写真を撮りに来る人も多いのだとか。
桐を植えて20年後に伐採して箪笥にすると言うのは「数年の乾燥行程」などから不可能のようで、
高価で売れる桐の木を伐採して売り、その収入で桐箪笥を買ったと言うのが真実らしいが、
「娘が生まれたら桐の木を植え、嫁に行くときには成長した桐の木で桐箪笥を作って嫁入り道具にする」
という「都市伝説」のような「語り」は残したいものである。