写真①:大小の古墳が緑の輝きを増して見える国指定史跡「新原・奴山古墳群」
=福津市奴山で、2015年7月29日午前6時20分撮影
2017年世界遺産推薦候補選定から一夜明け、緑の輝き増す
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」構成資産の「新原・奴山古墳群」
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が、2017年(平成29年)のユネスコ世界遺産登録の日本の推薦候補に選定されて一夜明けた7月29日朝、「関連遺産群」の構成資産5件のうちの一つ、福津市にある国指定史跡「新原・奴山古墳群」は台地に築かれた大小の古墳が緑の輝きを増しているようです=写真①=。
文化庁の文化審議会世界遺産特別委員会(委員長・西村幸夫東大先端科学技術研究センター長)は28日、「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議(福岡県や宗像、福津両市などで構成)がユネスコ世界遺産登録を目指す「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」について、日本の推薦候補に選定。今後、平成28年2月1日までに国がユネスコへ推薦書を提出し、ユネスコの諮問機関・イコモスの審査を受け、同29年6~7月にユネスコ世界遺産委員会で世界遺産登録の可否が決定されます。
世界遺産登録は「遺産の保全」が最重要課題
「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議が5月16日、福津市文化会館「カメリアホール」で開催した第6回「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群世界遺産シンポジウム「沖ノ島、その価値を未来へ伝えていくために」で、都市計画や都市景観計画の専門家として知られる西村委員長(日本イコモス国内委員会委員長)は「景観を慈しみ、遺産を守る」と題して講演。世界遺産の価値を未来へ伝えていくためには、地域の人たちに「何が大事か、という共通理解があることが必要。世界遺産は、観光のためにやっているのではなく、世界の遺産を守っていこうということです」と指摘されました。
世界遺産登録を実現できたら、「世界の遺産」をどう守り、後世に伝えるのか。5世紀前半から6世紀後半にかけて前方後円墳や円墳、方墳計41基が造られた「新原・奴山古墳群」。沖ノ島の古代祭祀を担い、海を越えて大陸との交流や〝神宿る島〟沖ノ島に対する信仰を支えた宗像地域の人々の存在を物語るこの古墳群景観と、自然環境を次世代に残していく「遺産の保全」こそが最重要課題といえそうです。