吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2007年1月10日/〈日記〉75・西鉄宮地岳線③

2007-01-10 06:23:24 | 日記
写真①:西鉄「宮地岳線」の津屋崎駅前踏切に入る電車
     =福津市津屋崎で、2006年10月18日午後1時26分撮影

今年を津屋崎の町興し元年に

 阪急東宝グループを創設した偉大な経営者・小林一三(いちぞう)氏=写真②=は、大阪が起点の阪急宝塚線の乗客を増やすため、終点の宝塚に宝塚歌劇を作り、沿線には宅地開発で分譲地を造成、電車の乗降客を増やして黒字経営にしました。生活者のニーズを先取りした氏の不滅の商才ぶりは、氷川幸樹氏の著書『小林一三 知恵は真剣勝負が生む』(KKベストセラーズ刊)に詳しい。公共交通機関の経営者には、社会貢献できる大きな視野に立った先行投資の英断も必要ではないでしょうか。

 西鉄「宮地岳線」新宮駅(福岡県新宮町)―津屋崎駅(福津市津屋崎)間が、3月限りで廃線になります。西鉄の歴代経営陣には、小林一三氏のような先見力とアイディアに富み、骨のある人物はいないのでしょうか。儲かる西鉄「天神大牟田線」(福岡市中央区天神―福岡県大牟田市)の沿線だけは開発、線路の複線・高架化や車両の改善を進める一方、赤字の宮地岳線は単線のまま、沿線の大規模開発や核となる大型店舗なども造らず、赤字が増えるだけの無策状態の結果を招き、安易に廃線するのはあまりに早計に思われます。西鉄の経営者には、公共輸送サービス機関の一翼を担う使命感はうかがえず、次は貝塚―新宮間の路線廃止か福岡市や県などへの売却話を持ちかけてくる局面も予想されるでしょう。


写真②:小林一三氏の不滅の商才ぶりを紹介した氷川幸樹氏書『小林一三 知恵は真剣勝負が生む』
     =07年1月9日午前10時12分複写

 06年10月23日、 九州運輸局で、同局や福岡県、西鉄、西鉄バス宗像株式会社、沿線自治体(新宮町、古賀市、福津市)の7者で構成した第3回西鉄宮地岳線代替交通確保調整協議会が開かれ、同線新宮―津屋崎間の第3セクターによる鉄道存続は、初期投資などの捻出が困難で断念と結論。その後、同線の代替交通手段として07年4月1日から運行する代替バスの計画が示されましたが、津屋崎橋から新宮間のバス料金は460円で現行料金260円より200円割高で、所要時間も35分と現行17分の2倍超になるなど津屋崎の生活者は切り捨てといわんばかりの酷な内容です。

 国(九州運輸局)や国会議員、福岡県と県議会も、何ら効果的な対応策を示さず、新宮―津屋崎間の廃線がずるずると決まり、市長や市議会も、鉄路を奪われて疲弊が懸念される津屋崎の浮揚策は示していません。代替バス運行も、津屋崎―新宮間が時間も運賃も今より余計にかかっては話になりません。県立新宮高校や水産高校をはじめ、福岡市内の公私立高校や大学、専門学校への通学生や通勤客、車を運転できない高齢者などは、鉄路を失い、交通の不便を強いられます。また、廃線区間の線路=写真③=や踏切の跡地はどうなるのかも説明されていません。


写真③:西鉄「宮地岳線」の線路(向こうが津屋崎駅)。廃線後はどうなる?
     =福津市津屋崎の市立津屋崎中の南側で、06年10月13日午前10時52分撮影

 福津市花見が浜の自宅から夫婦で福間―津屋崎海岸間を散歩し、西鉄津屋崎駅前の焼き鳥店で生ビールをジョッキで傾け、同駅から西鉄電車に乗って福間駅で下車して自宅に戻るのが、月に1度のささやかな夫婦の楽しみだったという私の知人は、廃線後、どうしたら同じ楽しみを味わうことができるのでしょうか。

 人口約5万6千人の福津市で06年12月24日、初の市議選(定数22)の投開票が行われ、旧福間町から14人、旧津屋崎町から8人の新市議が当選しました。有権者数約4万6千人の旧町別では、福間町が約3万4千人、津屋崎町が約1万2千人で、地縁票を考えると、旧福間町の候補者が有利だったはずでしたが、人口比から危機感を強めた旧津屋崎町有権者の投票率が高く、津屋崎の候補が善戦しました。西鉄「宮地岳線」廃止問題も、生活基盤を津屋崎に置き、津屋崎の自然と文化を継承する新議員に期待したいものです。

 福津市が津屋崎千軒通りの活性化を図る整備計画策定に反映させたいと、公募して結成した「津屋崎千軒考え隊」も、07年1月に6回目の会議が開かれます。私たち約20人の隊員は、「津屋崎千軒」の遺産を保護、活用して地域浮揚に活かす提案をまとめる予定です。今年が津屋崎の町興し元年となるように、福津市全体の街づくり像も含めて考えていきたいと思っています。
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