吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2006年12月21日/〈今月・来月の行楽・催事案内〉013

2006-12-21 04:20:52 | 行楽催事
〈12月・07年1月の行楽・催事案内〉追加3:宮地嶽神社「民家村自然広苑」を訪ねてみませんか

●写真①:宮地嶽神社にある「民家村自然広苑」
      =福津市宮司で、2006年12月19日午後0時33分撮影
 
 師走の23日からの連休に、福津市宮司の宮地嶽神社にある「民家村自然広苑」=写真①=を訪ねてみてはいかがでしょうか。日本各地から移築復元した古民家に接し、静かな自然の中で心の安らぎを得られるかもしれません。

 神社拝殿南側の境内を東へ歩くと、「民家村自然広苑」入り口に案内表示板が立っています=写真②=。

 〈四季折々の花と木々につつまれたここに日本建築の美と粋と伝統に育まれた各地の滅びゆく価値ある民家を移築復元。我々の祖先が残してくれた日本民族の貴重な遺産と自然とを後世に受け継いでゆきます〉と書かれています。


写真②:境内に立てられている「民家村自然広苑」の案内表示板
     =宮地嶽神社で、06年12月19日午後0時36分撮影

 この案内表示板から苑内を約5分歩くと、大きな「禊池」の東側に「民家村」の建物群が見えてきます。一番北側に建っているのが、昭和58年(1983年)5月に佐藤正彦九州産業大学教授の指導で佐賀県白石町から移築された〈くど造り民家〉の旧成富安雄邸(約189平方㍍)=写真③=。主棟が全て寄棟で、上から見ると「コ」の字形に棟が回っており、竃(かまど)に似ていることから〈くど造り〉の名が付いたという。佐賀平野を中心に点在する旧藩時代の〈くど造り〉の中でもかなり大きく、中央部に式台(玄関)があり、約170年前に上層階級の家として建てられたものだそうです。


写真③:佐賀県白石町から移築された〈くど造り民家〉
     =「民家村自然広苑」で、06年12月19日午後0時25分撮影

 旧成富安雄邸の東隣にあるのが、昭和52年(1977年)4月に熊本県泗水町から移築された〈二棟造り民家〉の旧等覚寺(泗水安哉住職)庫裡(くり)で、約142平方㍍=写真④=。〈二棟造り民家〉は、沖縄、中・南九州で多く見られるが、本屋と釜屋がほぼ同大で棟が平行に並ぶという非常に珍しいこの建物はかつて熊本県に多くあり、正式には〈平行二棟式〉と呼ばれます。この移築された建物は約200年前、寺の庫裡として建てられたため規模が大きく、建造年代も早く旧形、古制をよく伝える貴重な遺構という。〈平行二棟〉の形式は、神社建築の〈八幡造〉の源流とされ、かつては菊池地方に散在していましたが、現在ではわずかしか残っていないそうです。


写真④:熊本県泗水町から移築された〈二棟造り民家〉
     =「民家村自然広苑」で、06年12月19日午後0時26分撮影

 この旧等覚寺庫裡の東隣にあるのが、昭和54年(1979年)4月に福岡県小郡市から移築された〈鉤屋(かぎや)造り民家〉の旧中島治市邸(約92平方㍍)=写真⑤=です。〈鉤屋造り〉は江戸時代に最も多い建築様式で、上から見ると「L」字形の「かぎ」形をしていることから名付けられました。旧中島邸は約220年前に建てられ、入り口から右へ「にわ」(土間)、「ごぜん」(中居)、「納戸」が横一列に続き、納戸の前方に座敷が張り出します、天井はすべて竹簀子(すのこ)天井で、特に納戸の竹簀子天井に土を塗籠(ぬりごめ=大和天井)にしているところが珍しい。移築当時、小郡市最古の〈鉤屋造り民家〉という。


写真⑤:福岡県小郡市から移築の〈鉤屋造り民家〉
     =「民家村自然広苑」で、06年12月19日午後0時28分撮影

 旧中島邸の南側の「民家村」中央にある一番大きな民家が、昭和49年(1974年)2月に富山県利賀村(現南砺市)から移築された〈合掌造り民家〉の旧谷口幸雄邸(約90平方㍍)=写真⑥=。岐阜県飛騨地方から富山県砺波地方にかけての庄川上流地帯に平家の落人が建てた巨大民家の屋根の形が、掌(てのひら)を合わせたようなので〈合掌造り民家〉と呼ばれるようになりました。雪深い自然条件と、山間辺地の養蚕業、明治中期まで残っていた大家族制度とのかかわりで成立したものです。この旧谷口邸は江戸時代の建設で、荒縄とかずらだけで縛り上げ、いろり火を効果的に用いた建築法は厳しい山村生活の知恵の結集といえるでしょう。


写真⑥:富山県から移築された江戸時代の〈合掌造り民家〉
      =「民家村自然広苑」で、06年12月19日午後0時29分撮影

 この旧谷口邸の向かいの「禊池」そばに、もう1軒の〈合掌造り民家〉が建っています=写真⑦=。この家の裏には、公衆トイレもあります。


写真⑦:「禊池」そばにある〈合掌造り民家〉
     =「民家村自然広苑」で、06年12月19日午後0時29分撮影

 〈合掌造り民家〉の西側にある「江戸菖蒲苑」そばに、昭和49年(1974年)8月に長崎県・対馬から移築された〈対馬高床式平柱小屋〉(約26平方㍍)が建っています=写真⑧=。対馬特有の納屋で、ネズミの被害を防ぐために床下が吹き抜けになっています。台風や激しい雨風に耐えるように、頁岩(けつがん)という対馬独特の泥板岩を節理に沿って割ったものを羽重ねに葺いていく〈石屋根葺き〉になっており、19世紀半ばの建築と見られています。


写真⑧:長崎県・対馬から移築された 〈対馬高床式平柱小屋〉
     =「民家村自然広苑」で、06年12月19日午後0時32分撮影


宮地嶽神社「民家村自然広苑」(福岡県福津市宮司):◆交通アクセス=〔電車・バスで〕西鉄宮地岳線宮地岳駅下車、徒歩10分。JR鹿児島線福間駅下車、西鉄バス津屋崎橋行きか、神湊波止場行きで10分の「宮地岳宮前」で下車し、徒歩5分〔車で〕九州自動車道古賀インターから約20分。駐車台数1200台。足の不自由な方には、「禊池」周回道路を通って「民家村」裏の入り口まで車で行くこともできます。問い合わせは、宮地嶽神社(0940-52-0016)へ。

宮地嶽神社「民家村自然広苑」
  宮地嶽神社「民家村自然広苑」位置図
       (ピンが立っている所)
コメント
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