文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:千里眼 The Start

2016-06-16 07:43:38 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
千里眼 The Start (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店

・松岡圭祐

 「万能鑑定士Q」シリーズなどに先立つ、松岡圭祐の「千里眼」シリーズの角川文庫版の一冊目。ヒロインは、元航空自衛官で現在は臨床心理士、頭脳明晰で容姿端麗な岬美由紀。この巻では彼女が、なぜ空自を辞めて、臨床心理士への道を歩みだしたかが描かれている。

 美由紀には、空自のパイロットとして鍛えた動体視力がある。この動体視力が、心理学の知識と組み合わさったとき、瞬時に人の感情を読み取ることができる。人はそんな彼女を「千里眼」と呼ぶのだ。

 千里眼美由紀が挑む最初の事件は、旅客機を墜落させようというテロ。美由紀は薬物を注射されて海に捨てられ、あわや海の藻屑となるところだった。このとき美由紀を救い、彼女が心を開いて唇まで許した男との関係は、意外な方向に進む。

 だいぶ前に何冊か読んだ際のイメージでは、ハチャメチャで猪突猛進、無敵のスーパーヒロインだと思い込んでいた。しかし、あらためて読み返すと、そここそにトリビア的知識が披露され、後の「万能鑑定士Q」シリーズなどと同じ流れを汲んだ作品であることがよく分かる。それにしても、人間の記憶というものは、あてにならないものだ。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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