地理 2017年 02 月号 [雑誌] | |
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今月号の特集は、「都市は暑くなっている?」というものだ。今地球全体が温まっている「地球温暖化」が世界的な問題となっているが、都市の場合には、これに加えて「ヒートアイランド現象」というもうひとつの問題がある。皆さんは、田舎と都会では、都会の方が熱いという実感はないだろうか。これはヒートアイランド現象のためである。
都市と田舎との違いは、全体がコンクリートで覆われているかどうかということと、そこに住む人口の違いにより、活動によって生み出される熱に大きな差があるということだろう。コンクリートは、自然物に比べて熱を多く貯め込み、水分の蒸発も少ないので、水の潜熱(水が気化するために必要なエネルギー)という形で消費されるエネルギーも少なくなる。人口も多いので、電気、ガス、自動車などから生み出される熱エネルギーも田舎とは段違いだ。
また、さすがにここまでは書かれていないが、人間は100W電球と同じだけの熱を発生していると言われる。つまり100万都市の場合には、1kWの電熱器が10万台も置いてあることになるのである。
この特集は、ヒートアイランド現象を、都市の空間スケールごとの特徴、都市の気温データの信頼性・均質性に影響する因子、気圧の日変化、気候を活かしたまちづくりといった様々な観点から解説したものである。その内容は、とても高校までに学ばされてきた地理と同じレンジ内にあるものとは思えない。
それもそのはず。今回の特集の著者で出自が明記してある人は、すべて理工系である。つまり、地理というのは、文系の学問に収まりきるものではないのだ。私は、現在のように、地理を社会の一科目として教えていることが、地理嫌いを増やしている一因ではないかと思っている。地理は、社会と理科などにまたがった学際的な科目として再編成している必要があるのではないだろうか。
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※初出は「本が好き!」です。