文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:世界のシワに夢を見ろ!

2018-01-13 10:38:05 | 書評:小説(その他)
世界のシワに夢を見ろ! (小学館文庫)
クリエーター情報なし
小学館

・高野秀行

 本書は、早稲田大学探検部OBで、ちょっと変わった探検ばかりしている著者が、これまでに体験した31のヘンなエピソードを集めたものだ。どのエピソードをとっても思い切り笑えるのは言うまでもないが、いくつか紹介してみよう。

 まずは、うれし恥ずかし著者のDT喪失体験だ。もちろん著者のことである。普通の体験ではない。アフリカのコンゴでのこと。著者は、探検の前に現地で強い権限を持つ村長の家に挨拶に行った。村長は留守で、代わりに相手をしたのが村長の娘だった。

 言葉が分からないまま、相手が村長の娘だったので機嫌を損ねないように相槌を打っていたら、なんと寝屋に誘われたという。ただ、電気がないため、暗くて相手の顔もよく分からないままでの初体験だったようだ。どうもコンゴでは、割と気軽にやってしまうような風習があるようだ。もしできてしまった場合には、その娘の弟か妹として育てられ、本人は出産能力があることが証明されるために縁談が殺到するとのこと。しかし、著者は、欲求不満の溜まっている他の隊員たちからヒンシュクを買うのが恐ろしかったらしい。

 もうひとつ、こちらは、著者の初デートの話。デートした場所がなんと奥多摩の洞窟。観光地の洞窟とは違って、匍匐前進で狭い内部を通らなければならない。洞窟から出られたときは彼女も感激していたらしいが、その後口もきいてもらえなくなったという。まあ、そうだろうな。

 その他、著者がマラリアにかかった時の話など、面白い話題が満載。はじめにで著者も言っているように、「思わず吹き出しても大丈夫な環境」で読むことを勧めたい。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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