石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月20日)

2014-08-20 | 今日のニュース

・「原油価格は100ドルを下回らない」:Brent$101.11にも不安感ないOPEC各国

・クウェイト、中国Sinopecと10年間、30万B/D供給の新契約締結

・インドネシア、ベトナムに製油所建設検討:JXホールディング杉森社長

 

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇16貿易量(3)

2014-08-19 | その他

(3) LNG貿易
(LNG輸入大国は日本、輸出大国はカタール!)
(3-1) 2013年のLNG貿易
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G02.pdf 参照)
 2013年の全世界のLNG輸出入量は3,253億㎥であった。輸入を国別でみると最も多いのは日本の1,190億㎥であり輸入全体の37%を占めており、第2位韓国の542億㎥(シェア17%)の2倍以上である。因みに両国だけで世界のLNG輸入量の5割を超えている。第3位及び第4位は中国、インドでその輸入量は各々245億㎥及び178億㎥、第5位は台湾(172億㎥)とアジア、特に極東の国々が上位を占めておりこれら5カ国のシェアを合計すると7割強に達する。

 一方国別輸出量ではカタールが最も多い1,056億㎥であり、世界の総輸出量の3分の1を占めている。カタールに次いで輸出量が多いのはマレーシア(338億㎥)であるが、カタールの3分の1の規模である。第3位以下はオーストラリア(302億㎥)、インドネシアとナイジェリア(各224億㎥)、トリニダード・トバゴ(198億㎥)、アルジェリア(149㎥)、ロシア(142億㎥)、オマーン(115㎥)と続いている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇15貿易量(2)

2014-08-17 | その他

(2000年以降の天然ガス貿易の年平均伸び率は5.4%!)
(2)天然ガスの貿易量(2000年~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G01.pdf 参照)
 2013年の世界の天然ガス貿易の総量は1兆360億立法メートル(以下㎥)であり、内訳はパイプラインによるものが7,110億㎥、LNGとして取引されたものは3,250億㎥であった。パイプライン貿易が全体の7割を占めており、LNG貿易は3割である。天然ガス貿易に関与している国の数はパイプライン及びLNGを合わせ延べ50か国以上にのぼる。これらの国の中には日本のようにパイプラインによる輸入がなく全てLNG輸入に依存している国がある一方、カザフスタンのようにパイプラインによるガス輸出のみを行っている国、更には米国とカナダのようにパイプラインで相互に輸出と輸入を行っている国などいろいろな形態があり、今や天然ガス貿易は国際的に広く普及している。

 2000年以降の天然ガスの貿易量を見ると、2000年に5千億㎥を突破した後ほぼ2年毎に1,000億㎥ずつと言う高い伸びを示し、2011年には1兆㎥を超えている。2011年以降は伸びが鈍化しており、2013年は上記のとおり1兆360億㎥に達している。この間の年平均増加率は5.4%という高い数値を示している。貿易に占めるパイプラインとLNGの比率は2000年にはパイプライン74%、LNG26%であったが、その後LNGの比率が徐々に増加、2010年には30%を超え、2013年はパイプライン69%、LNG31%となっている。

 2000年と2013年を比較するとパイプラインによる貿易量の伸びが1.8倍であったのに対してLNGの伸び率は2.4倍である。LNGは最近の伸びが特に著しく2010年には対前年比24%という高い増加率を示している。天然ガス貿易はパイプライン或いはLNG設備が完成すれば貿易量が飛躍的に伸びるという特性があるが、LNG貿易はカタールの能力増強やロシア(極東)の設備新設により供給力が増加したことが貿易量の増大につながっている。

(続く)

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇14貿易量(1)

2014-08-16 | その他

4.世界の天然ガス貿易
(天然ガス貿易にはパイプラインとLNGの二つのタイプがある!)
(1)はじめに:天然ガス貿易の二つのタイプ
 天然ガスは石油と異なり大気中に拡散することを防ぐため密閉状態で搬送しなければならない。この場合輸送方法によりパイプラインで気体状のまま搬送する方法若しくは液化して特殊な船(LNGタンカー)や運搬車で搬送する二種類がある。パイプライン方式は常温で気体状のガスを生産地と消費地をパイプで直結して搬送するものであり、LNG方式は生産地で極低温で液化したガスを密閉容器で消費地に搬送するタイプである。

 パイプラインによる貿易は古くから行われている。但しパイプラインを敷設するためには生産地と消費地が陸続きであるか比較的浅い海底(又は湖底)であることが条件である。パイプラインによる天然ガス貿易が広く普及しているのが北米大陸の米国・カナダ間の貿易である。ヨーロッパ大陸でもオランダ産の天然ガスを各国に輸出するための天然ガスパイプライン網が発達し、同国の生産が衰退するに従い新たな供給地としてロシア及び中央アジア諸国とのパイプラインが敷設され、或いは地中海を隔てた北アフリカとの間で海底パイプラインが敷設され、現在ではこれらのパイプラインが欧州・ユーラシア地区における天然ガス貿易の中心を成している。

 これに対して天然ガスの生産地と消費地が離れており、しかもその間に深海の大洋がある場合は両者を結ぶパイプラインを敷設することは不可能である。そのために開発されたのが天然ガスを極低温で液化し容量を圧縮し効率よく輸出するLNG貿易である。LNGは液化のための高度な技術と高い設備投資コスト、さらに顧客との長期安定的な販売契約が事業の成立と継続のための必須条件である。このような制約のためLNG貿易の歴史は比較的新しく本格化したのは中東のカタールと日本の間で1997年に始まった事業からである。

(続く)

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇13 消費量(6)

2014-08-15 | その他

(いよいよ天然ガスの輸出国になる米国!)
(5-2)主要5カ国の天然ガス自給率
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-3-G05.pdf 参照)
 上記で取り上げた5カ国を自給率[(生産量-消費量)/消費量]で見ると2004年ではカナダが193%、ロシアは147%であり、英国、中国がそれぞれ100%と105%、そしてインドと米国は100%を割り92%と83%であった。つまり2004年の時点ではカナダは消費量の2倍以上、ロシアは1.5倍の生産量があり大きな輸出余力を持っていた。英国と中国は100%の自給体制を有し、インドは消費量の1割、米国は2割を輸入に依存していたことになる。

 ロシアの自給率はその後もコンスタントに140%台を維持しており安定的な輸出体制を組んでいる。カナダの自給率は2007年以降急激に低下し、2013年にはロシアとほぼ同じ150%に低下している。しかしこれはカナダの天然ガスの生産能力が減退したからではなく前項の需給ギャップで述べたとおり米国におけるシェールガス生産の急増によりカナダにとって唯一の輸出国である米国向けの輸出が急減したからに他ならない。カナダはLNG基地を建設し日本など米国以外への輸出を模索しており、いずれ輸出が上向くことは間違いないと言えよう。

 英国は2004年から2006年までは自給率が若干上昇する傾向を示したが、それ以降は年々低下2008年には100%を切り純輸入国に転落、インドも同様の道をたどっている。2013年の自給率は英国78%、インド65%であり、英国は2割強、インドの場合は3分の1を輸入に頼っているのが現状である。中国の状況はさらに厳しく、2007年に自給率100%を切るとその後は急速に悪化、2013年の自給率は72%まで低下、消費量の3割を輸入に依存していることになる。

 これら英国、インド、中国に比べ米国の自給率の改善には目覚ましいものがある。米国の2004年の自給率は83%であり4カ国の中では最も低かったが、その後年々改善し、2006年にはインドを、また2010年には英国と中国を追い抜いている。2011年以降米国の自給率は9割を超えており、2013年は93%である。今や米国は必要な天然ガスの内、輸入(カナダからの)はわずか1割未満にとどまっているのである。この趨勢が続けば近い将来米国は天然ガスの完全自給体制を整え、さらには輸出国になるであろう。米国政府は既に天然ガス(LNG)の輸出を承認、メキシコ湾沿岸で複数のLNG輸出基地が建設中であり、数年後に日本向けの出荷が開始される予定である。

(天然ガス篇消費量完)


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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇12 消費量(5)

2014-08-14 | その他

(ほぼ同量の米国と中国の需給ギャップ、シェールガス革命のあおりを受けるカナダ!)
(5)主要5カ国の需給ギャップ(自給率)
 世界の主要な天然ガスの生産国と消費国を並べると、日本やドイツを除く多くの国が天然ガスの消費国であると同時に生産国であることがわかる。例えば米国とロシアはそれぞれ世界1位と2位の生産国であり同時に消費国でもある。カナダは生産国としては世界5位、消費国としても世界6位であり、また中国も生産量世界6位、消費量世界4位である。そして英国は生産量が世界14位であり、消費量は世界10位である。ここではこれら5カ国(米国、ロシア、カナダ、中国及び英国)について生産量と消費量のギャップ(需給ギャップ)と各国の天然ガス自給率を検証してみる。

(5-1)各国の生産量と消費量のギャップ
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-3-G04.pdf 参照)
 5カ国のうちで生産量が消費量を上回っているのはロシアとカナダの2カ国だけであり、その他の3カ国(米国、中国、英国)は消費量が生産量を上回っている。つまり前2カ国は天然ガスの輸出余力があり、後者の3カ国は天然ガスを輸入する必要があることを示している。

 5カ国の過去10年間(2004~2013年)の需給ギャップを見ると、2004年のロシアは生産量5,733㎥に対し消費量は3,893㎥であり、差し引き1,840億㎥の生産超過(輸出余力)となり、ヨーロッパ諸国に輸出されたことになる。ロシアの需給ギャップは2009年に一時1,500億㎥を割ったが、その後は再び1,800億㎥台に戻り2013年の需給ギャップは1,913億㎥と過去最大の規模になっている。このことは2008年にリーマンショックのためヨーロッパの消費が一時的に減ったものの、その後の世界景気の回復と新たな国内ガス田の開発及び極東向けのLNG輸出開始により国内消費の伸びを上回る生産が行われていることを示している。

 カナダもロシアと同様生産量が消費量を上回っているが、ロシアとは対照的に需給ギャップが年々小さくなっている。カナダの2004年の生産量は1,837億㎥、消費量は951億㎥で差し引き886億㎥の余剰生産であったが、余剰生産量は毎年減少し続け2013年には513億㎥になっている。2013年の国内消費量は1,035億㎥であったから10年間の消費の増加は84億㎥に過ぎない。従って余剰生産量の減少は輸出量の減少を意味しているのである。カナダの場合天然ガスの輸出は米国向けに限定されるため輸出量の減少は即ち対米輸出が減ったためである。それは次に述べるとおりとりもなおさずシェールガス革命により米国の生産量が急増したためである。

 2004年に米国は1,079億㎥の消費超過であった(生産5,264億㎥、消費6,344億㎥)。2007年まではほぼこのような状況が続いたが、2008年以降はギャップが急速に小さくなり2011年以降の需給ギャップは500億㎥以下に縮まっている。2013年のギャップは496億㎥であり中国とほぼ同じ水準まで改善している。シェールガスによる天然ガスの供給増は目を見張るものがある。

 中国の場合、2004年は生産量415億㎥、消費量397億㎥で天然ガスの完全自給国であった。しかし2007年には消費量が生産量を上回るようになり、需給ギャップは年々大きくなっている。2013年は生産量1,171億㎥に対し消費量は1,616㎥に達し、446億㎥が輸入されたことになる。この傾向は今後も続くと思われ、今年の需給ギャップは米国より悪化することは間違いないであろう。

 英国はかつて北海油田の随伴ガスにより国内の消費量を賄い2004年には84億㎥の輸出余力すらあったが、年々輸出余力は乏しくなり2008年には純輸入国に転落している。インドは2004年では既に26億㎥の生産不足で天然ガスの輸入国であったが輸入必要量は年々増大している。2013年の英国とインドの需給ギャップはほぼ同量で英国160億㎥、インド178億㎥となっている。

(続く)

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇11 消費量(4)

2014-08-12 | その他

(2009年に日本を超えた中国、増加の度合いが一服した日本!)
(4)日本、中国及びインドの消費量の推移(1980~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-3-G03.pdf 参照)
 ここではアジアの三大国である日本、中国及びインドについて1980年から昨年までの消費量の推移を比較してみる。1980年の日本、中国及びインドの天然ガスの消費量はそれぞれ241億㎥、143億㎥、12億㎥であった。中国は日本の6割、インドはわずか5%に過ぎなかった。それでも同じ年の米国の消費量5,630億㎥と比べると日本ですら米国の20分の1以下だったのである。

 1980年から2000年までの20年間は日本とインドの消費量が急増する一方、中国の増加率は両国を下回った。このため2000年における3カ国の消費量は、日本723億㎥、インド264億㎥、中国245億㎥となりインドが中国を追い抜き、日本と中国の差は3倍に拡大した。

 しかし2000年以降中国の天然ガス消費量は急増、2005年には468億㎥に倍増した。2005年以降は増加のペースが加速し2009年には日本を追い抜いた。2013年の中国の消費量は1,616億㎥に達し、日本の1.4倍となっている。日本の場合は2000年から2010年までの年間平均増加率は3.6%であったが、2011年には一挙に対前年比12%の大幅増となり、2012年も前年比11%であり2年連続して二桁台の高い増加率となっている。福島原発事故に伴う火力発電用LNG調達のためであるが、2013年の消費量は2012年と同量となり増加の度合いは一服した感がある。

 インドの消費量は順調に伸び、2010年には600億㎥を突破したが、その後は3年連続して減少し、2013年の消費量は514億㎥である。これは日本の2分の1、中国の3分の1である。

 天然ガスは石油に比べてCO2や有害物質の排出量が少ない「環境に優しいエネルギー」として今後需要が拡大することは間違いない。世界的にも新しいパイプラインやLNGの液化・運搬・受入設備が増強されている。米国でシェールガスの開発生産が急増しており、また世界各地で新しいガス田が発見されるなど天然ガスの開発と生産拡大の余地は大きく、それに応じて今後も消費拡大のペースは続くものと思われる。特に日本の場合は原発事故の影響により今後も天然ガスの消費は高い水準を維持することになろう。また中国は今後ますます需要が伸びるものと見られ、最近ロシアと大型天然ガス購入契約を締結し消費の増加に対処しようとしている。

(続く)

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月11日)

2014-08-11 | 今日のニュース

・欧米政府の対ロ経済制裁の中、ExxonMobilm北極カラ海で掘削開始

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇10 消費量(3)

2014-08-10 | その他

(アジア・大洋州の天然ガス消費量は1970年の44倍に激増!)
(3)地域別消費量の推移(1970-2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-3-G02.pdf 参照)
 1970年に9,800億㎥であった天然ガスの消費量はその後1991年に2兆㎥を超え、2008年にはついに3兆㎥の大台を超えている。2013年の消費量は3.35兆㎥であり、1970年から2013年までの42年間で消費量が前年度を下回ったのは2009年の1回のみで毎年増加し続けており、43年間の増加率は3.4倍に達している。

 石油の場合は第二次オイルショック後の1980年から急激に消費量が減った例に見られるように、価格が高騰すると需要が減退すると言う市場商品としての現象が見られる。天然ガスの場合は輸送方式がパイプライン或いはLNGのいずれにしろ生産国と消費国がほぼ直結しており、また一旦流通網が整備されると長期かつ安定的に需要が伸びる傾向がある。天然ガスの消費量が一貫して増加しているのはこのような天然ガス市場の特性によるものと考えられる。

 欧州・ユーラシア、北米、アジア・大洋州をはじめとする6つの地域の消費量の推移を見ると地域毎の生産量の推移にはいくつかの大きな特徴が見られる。1970年の世界の天然ガス消費量の66%は北米、30%は欧州・ユーラシアであり、両地域だけで世界全体の96%を占めており、その他のアジア・大洋州、中南米、中東及びアフリカ地域は全て合わせてもわずか4%にすぎなかった。

 その後、北米の消費量の伸びが小幅にとどまったのに対して、欧州・ユーラシア地域は急速に消費が拡大し、1981年には北米を追い越している。そして1980年台半ばから1990年初めまでは世界全体の消費の50%を欧州・ユーラシアが占めていた。同地域の消費量は2001年に1兆㎥を超えた後、2013年は1兆647億㎥と横ばい状態である。このため欧州・ユーラシア地域の世界全体に占める割合は徐々に低下し2013年には32%となっている。

 これに対してアジア・大洋州の場合、1970年の消費量は146億㎥であり中南米(181億㎥)より少なかったが、その後アジア・大洋州の消費量は急増し、1980年には720億㎥と中南米、中東両地域に2倍以上の差をつけている。この増加傾向はさらに加速し、2000年には2,900億㎥、全世界のシェアの12%を占めるに至った。そして2013年は6,390億㎥でシェアも19%に上昇している。2013年の消費量は1970年の44倍であり、2000年と比べても2倍以上増加している。1970年と2013年の増加率では北米が1.4倍、欧州・ユーラシアが3.7倍であることと比較してアジア・大洋州の伸びが如何に大きいかがわかる。

 北米、欧州・ユーラシア地域とアジア・大洋州地域の違いは先に述べた輸送網の拡充が消費の拡大をもたらすことの証しであると言えよう。即ち北米では1965年以前に既に主要なパイプラインが完成していたのに対し、欧州・ユーラシアでは旺盛な需要に対応して1970年以降ロシア方面から西ヨーロッパ向けのパイプラインの能力が増強されている。この場合、パイプラインの増設が西ヨーロッパの更なる需要増加を招く一方、ロシア及び中央アジア諸国などの天然ガス生産国では新たなガス田の開発が促進され、相互に呼応して地域全体の消費を押し上げる相乗効果があったと考えられる。アジア・大洋州の場合は、日本が先陣を切ったLNGの利用が、韓国、台湾などに普及し、また中国、インド等新たなLNG輸入国が生まれたことにより地域における天然ガスの消費が近年急速に拡大しているのである。

 (続く)

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇9 消費量(2)

2014-08-09 | その他

(一国で世界の5分の1の天然ガスを消費する米国!)
(2)国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-3-T01.pdf 参照)
 次に国別に見ると、最大の天然ガス消費国は米国であり、同国の2013年の消費量は7,372億㎥であった。これは全世界の22%に相当する。米国は石油についても世界全体の20%を消費しており(石油篇国別消費量参照)、世界一のエネルギー爆食国である。

 第2位はロシア(4,135億㎥、12%)でこの米露両国が世界の二大天然ガス消費国である。これに続くのがイラン(1,622億㎥)、中国(1,616億㎥)である。5位以下10位までには日本(1,169億㎥)、カナダ(1,035億㎥)、サウジアラビア(1,030億㎥)と続き、これら7カ国が消費量1千億㎥以上の国である。

 2012年の天然ガス消費量を前年の2011年と比較すると、世界全体では1.1%の増加である。米国は世界平均を上回る2.0%の増加率である。米国は石油の消費量も2.0%増であり(石油篇参照)、シェールガス及びオイルの増産により石油・天然ガスの価格が低位安定し国内の石油化学産業が活発化するなど産業全体に波及効果が及んでいるものと考えられる。

 米国が増加しているのに対してロシアは0.7%減少し、日本も0.1%減少している。日本の場合は2011年の福島原発事故による原発の全面停止により火力発電用のLNG輸入が急増した結果、2011年は前年比で11.6%増、2012年も同10.3%増と2年連続で二桁の大幅な増加となったが、3年目の昨年は漸く増加の伸びが前年を下回っている。

 ヨーロッパ諸国の場合はドイツが前年比6.7%の高い伸びを示している一方、イタリアはマイナス6.5%の大幅減少、英国も0.8%減少しており、天然ガス消費の面からドイツ一国が好景気に沸いている状況が読み取れる。

(続く)

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