石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

サウジアラムコと五大国際石油企業の2019年業績比較 (7)

2020-04-03 | 海外・国内石油企業の業績

5.Balance Sheetの比較:(続き)
(傑出したアラムコの財務内容!)
(2)負債・資本 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-37.pdf 参照)
 6社の資本(Equity)、長期負債(Non-current liabilities)及び流動負債(Current liabilities)の金額及び全体に占める比率を比較すると以下のとおりである。

(2-1)資本(Equity)
資本が最も大きいのはアラムコの2,790億ドルであり、IOC5社はいずれも2千億ドル以下である。5社を資本の多い順に並べると、ExxonMobil(1,917億ドル)が突出しており、これにつぐのがChevron(1,452億ドル)、Shell(1,342億ドル)、Total(1,193億ドル)と続き、BPは最も少ない1,007億ドルである。アラムコを100とした場合、ExxonMobilが7割、Chevron、Shellが2分の1でありBPの資本はアラムコの3分の1である。
 
 また資本及び長期・流動負債(下記参照)との合計額のうち資本が占める割合をみると、アラムコの場合は72%を占めており、IOC5社の中で最も比率が高いChevronの61%を10ポイント以上上回っており、Shell、BPは30%台にとどまっている。アラムコの財務内容が極めて優れていることがわかる。

(2-2)長期負債(Non-current liabilities)
 長期負債はBP(1,209億ドル)及びExxonMobil(1,070億ドル)が1千億ドルを超えており、これに次ぐのがTotal(837億ドル)、Shell(796億ドル)、Chevron(657億ドル)である。これに対してアラムコの長期負債は最も少ない620億ドルでありBPの2分の1にすぎない。

 全体に占める比率はBPが41%と最も高く、ExxonMobil、Total、Chevronの3社はいずれも30%前後、ExxonMobilは最も低い29%であるが、アラムコは16%にとどまっている。

(2-3)流動負債(Current liabilities)
 流動負債が最も多いのはShellの1,905億ドルでありIOC他社およびアラムコに比べ突出して多い。因みにShellに次いで流動負債が多いのはBPの736憶ドルであり、アラムコは575億ドル、最も少ないのはChevronの265億ドルである。合計額に占める各社の比率はShellが負債・資本全体のほぼ半分を占める47%に達している。これに対して他社はTotal 26%、BP 25%、ExxonMobil 18%、アラムコ 14%、Chevron 11%である。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 石油と中東のニュース(4月3日) | トップ | 今週の各社プレスリリースか... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海外・国内石油企業の業績」カテゴリの最新記事