本レポート(上)(下)は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0312IocJxInpex2013.pdf
1.はじめに
日本を代表する石油元売り企業のJXホールディングスと石油・天然ガス開発専業の国際石油開発帝石(以下INPEX)が相次いで平成26年3月期決算を発表した。
*JXホールディングス:http://www.hd.jx-group.co.jp/ir/library/statement/2013/index.html
INPEX:http://www.inpex.co.jp/ir/library/pdf/result/result20140509.pdf
JXホールディングスの事業内容は石油精製販売の他、非鉄金属、石油・天然ガス開発等多岐にわたっているが石油業界でダウンストリーム(下流部門)と呼ばれる精製販売が中心である。一方、INPEXは石油・天然ガスの開発専業会社であり、これはアップストリーム(上流部門)と呼ばれる分野である。
これに対してExxonMobilなど国際石油企業(IOC, International Oil Company)はアップストリームとダウンストリームを一体として手掛けており、事業規模も日本の石油企業に比べ格段に大きい。ExxonMobil(米)、 Shell(英・蘭)、 BP(英)、Total(仏)及びChevron(米)のIOC5社の昨年1-12月業績については既に本ブログで取り上げてレポートしている。
*「五大国際石油企業2013年度業績速報シリーズ」参照
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0298FiveMajors2013.pdf
JXホールディングス及びINPEXの決算は日本基準でありIOC5社と会計基準が異なるため厳密な比較はできないが、本稿では売上高、純利益、売上高利益率及び原油・ガス生産量の4項目についてあえて横並びで比較し規模の違いを浮き彫りにしてみたい。なお日本2社の売上高及び純利益は円建てであるがここでは1ドル=100円に換算した。
2.JXホールディングスとINPEXの3月期決算概要
JXホールディングスとINPEXの3月期決算の概要は以下のとおりである。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-21.pdf参照)
(1)JXホールディングス
JXホールディングスの連結売上高は12,412,013百万円、純利益は107,042百万円であった。売上高利益率は0.9%となる。セグメント別の売上高はエネルギー10,745,707百万円、石油・天然ガス開発202,193百万円、金属1,036,219百万円、その他427,894百万円である。全売上高に占める割合はエネルギー86.6%、石油・天然ガス開発1.6%、金属8.3%、その他3.5%であり、JXホールディングスの売り上げのほとんどは石油の精製販売であることがわかる。
一方セグメント別の利益と全利益(経常利益ベース、302,329百万円)に占める割合は、エネルギーが108,235百万円(35.8%)、石油・天然ガス開発105,499百万円(34.9%)である。石油・天然ガス開発部門は売上額ではエネルギー部門の50分の1にすぎないが、利益面ではほぼ互角で全利益の3分の1強を稼いでいる。石油上流部門(アップストリーム)の利益率は52%に達し非常に高い。なお昨年1-12月の原油・天然ガス合計販売量は石油換算で115千B/Dである。
(2)国際石油開発帝石(INPEX)
INPEXの連結売上高は1,334,625百万円、純利益は183,690百万円であった。売上高利益率は13.8%となる。同期間中の原油・ガス合計生産量は石油換算で409千B/Dであった。
(続く)
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