石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇8 生産量(4)

2013-08-28 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0277BpOilGas2013.pdf

 

(生産量世界一のロシアに肉薄する米国の底力!)
(4)ロシア、米国等主要国の生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-2-G03.pdf 参照)
 ここでは2012年の生産量上位4カ国(ロシア、米国、サウジアラビア、イラン)に中国、カタール及びブラジルを加えた7か国について2000年以降の生産量の推移を見ることとする。

 2000年における石油・天然ガス合計生産量は米国が1,709万B/D(内訳:石油773万B/D、天然ガス5,432億㎥、石油換算936万B/D。以下同じ)でトップであり、ロシアは1,569万B/D(658万B/D、5,285億㎥、911万B/D)であった。その後、米国は生産量が減少、一方のロシアは増加したため2002年には両国の順位が逆転した。その後両国の差は年々大きくなり2005年の生産量はロシアが1,959万B/D、米国は1,571万B/Dと両国の差は400万B/Dまで拡大した。しかし米国の生産が2005年を底に上向きに転じる一方、ロシアはその後横這い或いは減少している。この結果2012年の生産量はロシアの2,085万B/Dに対し米国は2,065万B/Dで両国の差はわずか20万B/Dにまで縮まっている。

 サウジアラビアの場合は従来から石油の比率が圧倒的に高く、2000年の生産は石油が947万B/D、天然ガスは86万B/D(石油換算)で石油はガスの11倍であった。その後同国の石油生産は常時1千万B/D前後で推移する一方、天然ガスの生産は毎年前年を上回る増加を続けている。この結果2012年の生産量は石油1,153万B/D、天然ガス177万B/Dの合計1,330万B/Dに達し、石油とガスの比率は7.5対1となり天然ガスの比率が上がっている。

 カタールは2000年時点では石油と天然ガスの生産量はそれぞれ85万B/D、41万B/D(合計126万B/D)であり、石油が天然ガスを上回っていたが、その後天然ガスの生産が急速に拡大し、2006年には倍増、さらに2012年には石油換算で271万B/Dに達している。この結果、2012年の石油・天然ガスの合計生産量は2000年の3.7倍の467万B/Dを記録するとともに、石油と天然ガスの比率は石油42%に対し天然ガスは58%と逆転している。

 中国とイランは2000年以降も着実に生産量が増加しており、中国は373万B/D(2000年)が2012年には600万B/Dの1.6倍に増えている。イランも2000年の合計生産量489万B/Dが2011年には1.5倍の697万B/Dに増加した。しかし同国の場合は核開発疑惑をめぐる欧米諸国の禁輸方針の結果、2012年の石油・天然ガスの合計生産量は前年を8%下回る645万B/Dにとどまっている。天然ガスは全量国内消費のため生産量は微増すると見込まれるが、原油の生産は厳しく、同国は2年連続で石油・天然ガスの合計生産量は減少することは避けられないであろう。

 ブラジルの生産量はこれらの国々に比べて必ずしも多くないが、2012年の生産量は2000年に比べて1.8倍である。これは6カ国の中ではカタールに次いで高い伸び率であり、ロシアの1.3倍、米国の1.2倍に比べかなり大きい。

(石油+天然ガス篇 生産量完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ニュースピックアップ:世界... | トップ | BPエネルギー統計レポート2... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事