石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(9月22日)

2020-09-23 | 今日のニュース
(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)
・苦闘する世界の石油精製企業。米企業の精製マージンは採算割れの9ドル/バレル。日本の稼働率も8月の72%から9月は65.9%に低下
・Shell、コスト40%削減に取り組む。 *
*「ExxonMobil、BP、Shell3社は損失計上:五大国際石油企業 2020 年 4-6 月期決算速報」参照。

(中東関連ニュース)
・レバノン大統領、国政混乱に強い警告。組閣できなければレバノンは地獄行き
・米、イランに新たな経済制裁発動。国際社会は正当性に疑問譜
・オマーン、8月だけで外国人5万人が帰国。人口は1年間で453万人から448万人に減少
・クウェイト議会、外国人削減案を可決。具体的人数は政府にゆだねる
・ドバイAl-Habtoorグループ、イスラエルに事務所開設
・UAEとイスラエルがTV番組制作で協力協定締結
・UAE、NASAと宇宙飛行士訓練で協定締結


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石油・ガスの生産と消費で米国が四冠:BPエネルギー統計2020年版石油+天然ガス篇 (12完)

2020-09-23 | BP統計
(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0514BpOilGas2020.pdf

(天然ガスと石油を合わせて97%に達した米国のエネルギー自給率!)
(6)米国の石油・天然ガス自給率の超長期推移(1980~2019年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-3-G06.pdf 参照)
 米国の石油・天然ガスの需給ギャップが近年急速に改善しつつあることについては既に石油篇、天然ガス篇でも触れたが、本項では改めて1980年から2019年までの約40年間にわたる石油と天然ガス並びに両者を合わせた自給率の推移を検証する。

 まず石油については、1980年は生産量1,017万B/Dに対し消費量は1,706万B/Dであり自給率は60%であった。つまり米国は必要な石油の6割を自国産で賄っていたことになる。1980年代前半は生産が1千万B/Dを超える水準で推移する一方、消費は1,500万B/D台に減少した結果、自給率は67%まで上昇した。ただその後は海外の安価な石油に押され生産は減少の一途をたどり2005年から2007年までの3年間の自給率は34%に落ち込んでいる。この時、米国は必要な石油の3分の1しか自給できなかったのである。

 しかし2000年初めから石油価格が急上昇し、米国内で石油増産の機運が生まれ、同時にシェール層から石油を商業生産する方法が確立し、2009年以降同国の石油生産量は大幅に増えた。反面、景気の後退により消費量が漸減した結果、2019年は石油生産量1,705万B/D、消費量1,940万B/Dで自給率は88%に達し過去39年間では最高である。

 次に天然ガスを見ると、1980年代前半の自給率は100%に近く、ほぼ完全自給体制だった。80年代後半以降は生産が伸び悩む半面、消費が増加したため、自給率は漸減の傾向を示し、1992年には自給率が90%を割り、2005年には82%まで低下、需要の約2割を隣国カナダからの輸入に依存することになった。しかしその後シェールガスの開発生産が本格化するに伴い生産量は急激に増大し、2017年には自給率は100%を超え、2019年も過去最高の109%を達成、完全自給体制を整えた。米国は数年前からLNGの輸出を開始、今後本格的な天然ガス輸出国になろうとしている。

 石油と天然ガスを合わせた自給率は1980年に73%であった。1984年には78%までアップしたが1985年以降は長期低落傾向となり、2005年の自給率は50%まで落ち込んだ。しかしその後は急速に回復、2019年の自給率は過去最高の97%を達成、ほぼ完全自給の体制を確立している。因みに2019年の石油・天然ガスの合計生産量は石油換算で3,291万B/D、また合計消費量は同石油換算で3,399万B/Dである。需給ギャップは100万B/Dであるが、シェールガス及びシェールオイルの増産は今後も続くものと見られ、エネルギーについては米国の将来は極めて明るいと言えよう。

(石油+天然ガス篇 完)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする