石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(1月10日)

2020-01-10 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
(石油関連ニュース)

・ホルムズ海峡からの石油輸出に差し当たっての支障はない:UAE石油相

(中東関連ニュース)

・露トルコ両国大統領、リビア・シリア問題等で会談。トルコ横断天然ガスパイプライン開通式出席

・米、イラン経済制裁を強化

・イエメン、政府軍と南部暫定評議会部隊がアデンから撤退

・イランでウクライナ機墜落。カナダ人63人含む乗客乗員全員死亡、ミサイル誤爆か

・仏航空など民間機がイラン、イラク上空飛行空路を迂回

・リビア反政府軍ハフタール将軍、ロシア・トルコの停戦提案を拒否

・ゴーン元日産会長、ベイルートで記者会見:逃亡したのではない、不正義から逃れたのだ

・レバノン政府、日本からのIPO指名手配依頼受けゴーン元日産会長の海外渡航を禁止

・世銀、GCCの成長率を下方修正。UAEは1.8%

 

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スペインなど南欧3カ国が揃って格上げ:世界主要国のソブリン格付け(2020年1月現在) (2)

2020-01-10 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0492SovereignRating2020Jan.pdf 
 

2.7月現在の各国の格付け状況(続き)
(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)

(スペイン、ポルトガル、ギリシャの南欧3カ国が格上げ!)
(1)欧米諸国 (米英仏独など)
ドイツ、スイス、カナダ、オランダなどは引き続きトリプルAの最高格付けを維持している。経済力が世界一の米国の格付けはトリプルAより1ランク下のAA+である。そして英国とフランスはさらに1ランク低いAAであり、これは韓国あるいはクウェイト、アブダビと同格である。

EU諸国のうちスペイン、ポルトガル及びギリシャの南欧3カ国が過去半年の間に相次いで格上げされている。スペインはA-からAに、またポルトガルは投資適格の最も低いランクBBB-からイタリアと同じBBBに1ランク格上げされて。またかつて債務不履行寸前まで落ち込んでいたギリシャはB+からBB-に格上げされた。未だ投資不適格の範疇であるが、同国の経済は最近急速に改善されているようである。ロシアは投資適格では最も低いBBB-にとどまっている。

(極東4か国の中では韓国がトップ、低い日本と中国!)
(2)極東4か国(日、中、韓、台湾)
極東アジアの日本、中国、韓国及び台湾のうち最も高い格付けを得ているのは韓国のAAであり、これは英国、フランス或いはクウェイト、アブダビの中東湾岸産油国と同格である。台湾はAA-であり中東のカタール或はイスラエルと並んでいる。これに対して日本及び中国はさらに1ランク低いA+の格付けにとどまっており、アイルランドと同格である。中国は日本と同じA+であり、極東4カ国の中では日本と中国に対する評価が厳しい。S&Pの格付け定義によれば、AAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい」であり、またAは「債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とされている。

(政情不安でCCCに格下げされたレバノン!)
(3) 中東諸国の格付け
GCC6カ国のうちクウェイトおよびアブダビ(UAEは首長国単位の格付けでありドバイは格付けされていない)はAAである。カタールは2017年6月にサウジアラビア、UAEなどが同国と断交した結果、同年下半期に格付けはAA-に下がり現在に至っている。これは台湾と同じであるが中国、日本よりは1ランク上である。

GCC最大の経済規模を誇るサウジアラビアは二年前まではこれら3か国と同じランク(AA)であったが、現在はA-であり、UAE、クウェイトとは4ランク、カタールとは3ランクの差がある。同国の財政は必ずしも楽観を許さず外貨準備高が減少、7年ぶりに国債発行を余儀なくされるなど、財務改善が進展しないことに対し格付け機関は厳しい評価を下している。

同じGCC加盟国の中で財務状況が悪化しているオマーンは2018年上期まで連続して格下げされ、投資適格から同不適格に転落、現在はBBにとどまっている。またGCC6か国の中で非産油国のバハレーンは経済が脆弱であり、政治的にも不安定要因を抱えているためもともと他の5か国より格付けが低く、現在はトルコ、ヨルダンと同格のB+に格付けされている。経済不安があり他のGCC諸国から金融支援を仰いでいる状況であり、更なる格下げの脅威に晒されている。GCCはクウェイト、UAE(アブダビ)、カタールの3か国が比較的安定しているのに対し、オマーン及びバハレーンが投資不適格のBBまたはB+に格付けされ、サウジアラビアは両者の中間で格上げよりも格下げ圧力が強い不安定な状況にあると言えよう。GCC6カ国間の格差は大きい。

 その他のMENA諸国ではイスラエルがAA-であるがこれはカタール、台湾と同格で日本、中国(A+)より1ランク上である。モロッコはBBB-でかろうじて投資適格の格付けを維持している。これに対してトルコは投資不適格のB+であり、エジプトの格付けはトルコよりもさらに低いBである。政情不安、金融不安を抱えるレバノンは半年前まではイラクと同じB-であったが、昨年下半期にCCCに下がっている。因みに格付けCCCは「債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している」である。

(格付けに変化ない発展途上国、南ア、ブラジルは引き続き投資不適格!)
(4) BRICsおよびアジアの発展途上国の格付け
アジア・オセアニア地域ではオーストラリア及びシンガポールが独、スイスなど西欧諸国に並ぶ最上級AAAの格付けであり、東南アジア諸国ではタイ、フィリピンがBBB+、インドは投資適格で最も低いBBB-である。BBBはS&Pの格付け定義では「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」とされ、投資適格の中で最も低いランクである。

BRICsの一角を占めるブラジル及び南アフリカはそれぞれBB-、BBでありいずれも投資不適格とされ、同じBRICsのロシアあるいはインド(共にBBB-)より2乃至3ランクの格差がある。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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