とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「梵心」森清範さん

2012-09-21 20:05:46 | 社会人大学
第8回目の社会人大学は、京都清水寺の貫主である森清範(せいはん)さんだった。昨年の卒業式の記念品が森清範さん直筆の色紙だったことを思い出す。

森さんのプロフィールを紹介する。
京都・清水で生まれ、祖父が僧侶だったので清水寺へ貰われてくる。16歳のとき得度、入寺。花園大学卒業。真福寺住職などを経て、1988年清水寺貫主。北法相宗管長に就任。「梵心」とは生きるエネルギーをいただき、それをありがたいと思う心。

清水寺は、778年の開創で、1200余年の歴史がある。京都ではそれだけの歴史を持つお寺は少なく、太秦の広隆寺に次ぐ古さになるという。昔から多くの人々に愛され、今で言う文化センターのような性格をもち、民衆の中に深く生きてきたお寺でもあるという。

また、平安中期の作家である清少納言にたいへん気に入れられていたらしく、「春は曙ようよう白くなりゆくやまぎは…」という有名な言葉から始まる随筆文には、清水寺の事が数多く書かれているそうだ。中でも、清少納言が気に入った僧侶の名前が「清範」という名前だったらしい。森さんが得意げに話していたのが面白かった。

清水寺といえば、頭に浮かぶのがあの「清水の舞台」である。崖に建つ舞台には欅(けやき)が使われている。欅の柱は139本あり、400年から500年かけて育った木が使われているという。本堂の柱で長いものだと11メートル、太さは人間が両腕を回してもとても届かない巨大な欅である。欅はとても硬く、現代の釘を打ち付けようとしても、木が硬いので釘が曲がってしまうそうだ。さらに清水寺の山には、何百年先を見越して、欅と檜(ひのき)の苗木を何万本も植林しているそうだ。今の政治家は1年、2年先のことしか考えていないが、清水寺では百年単位で先のことを考えているというわけである。まさに世界に冠たる遺産ならではといえる。

また、2007年には「新・世界七不思議」の候補地として、最終ノミネートの中に清水寺が入っていたそうだ。残念ながら、七つの中には入らなかったが、あの木造の舞台に世界の注目が集まっていたことは間違いない。最終的に選ばれたのは下記の場所だ。

1.チチェン・イッツァのピラミッド(メキシコ)
2.イエス・キリスト像(ブラジル)
3.万里の長城(中国)
4.マチュ・ピチュ(ペルー)
5.ペトラ(ヨルダン)
6.コロッセオ(イタリア)
7.タージ・マハル(インド)

この新・世界七不思議と称されている場所だが、英語の「wonder」には「驚異的なもの」という意味があり、もともとの世界七不思議の原語のギリシア語も「不思議」という意味ではないため「不思議な」物件とは考えないほうがいいそうだ。また、この最終候補の決定は、インターネットによる投票だったので、国家レベルで自国の候補地への投票を過剰に煽った組織票によるものが大きく人口が多い国が有利だったという指摘があるらしい。

まあ、そんな訳で清水寺の舞台がやたらに印象に残ってはいるのだが、ところで清水寺のご本尊は何ですかと聞かれても何だったかよく知らなかったのに気付いた。本尊は千手観音様だというが、33年に1度開扉の秘仏であるため、ほとんど見る機会はない。どうりで、思い出すことが出来なかったわけだ。

清水の舞台といえば、年末に発表される“今年の漢字”(日本漢字能力検定協会主催)が有名である。テレビを見ていると漢字が大きな筆で揮毫されるが、その時揮毫している人が森清範さんである。本人は、テレビで顔も映して欲しいと思っていたらしいが、テレビ局ではなるべく顔が映らないように揮毫して下さいといわれているそうで、大変残念がっていたのが笑えた。今年も、森清範さんがどんな漢字を書いてくれるか楽しみである。

ほかにもいろいろ面白い話があったが、魂はなくならないという日本人の宗教感、仏心とは慈悲の心、人を思いやる心(絆)といった話が印象に残った

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2 コメント

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清水寺 (見切り発車)
2012-09-23 19:02:41
清水寺 というからには 観光地というだけではなく 実際にお寺さんとして機能していたのですね、
ちゃんとご住職様もいらして お寺の行事も勤めている普通のお寺と同じ、
当たり前ですけど ちょっと 驚きました。

清水の舞台は 確かに 驚異的な建築物ですよね、
1000年以上前に作られていて あの舞台!
硬い硬い欅があったからこその 清水寺と舞台だったのでしょうか。

>ペトラ(ヨルダン)
って 名前も知りませんでした、
今ネットで見てみたら 古代遺跡がらみの冒険活劇映画?みたいなので時々目にする風景みたいです、
あの 神殿や建物などを考慮して 作られたお話しも沢山あったのでしょうね、
こちらも 確かに「驚異的」な 建造物ですね。
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見切り発車さんへ (とっちー)
2012-09-24 22:52:27
ペトラは、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』や『トランスフォーマー/リベンジ』のロケ地として使われたそうですね。さすが、新世界七不思議に選ばれた場所は、驚異的な建造物ばかりです。

清水寺に行ったら、そんな評価もあったということを認識して舞台を眺めてみると、また面白そうです。
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