楽園のカンヴァス | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
《内容(BOOKデータベースより)》
ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。
MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。
その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。
持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。
好敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間。
ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。
絵画を主題に書かれた作品である。
このジャンルの作品は、ほとんど読んだことがなく、絵画の世界には全く疎いものだから、読み進めることができるか心配だった。
しかも作者は、美術品の専門家でニューヨーク近代美術館に勤務したこともあるキュレーターだったという。
キュレーター(英語: curator)とは、博物館(美術館含む)、図書館、公文書館のような資料蓄積型文化施設において、
施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職、管理職を指すそうだ。
そんな情報だけでは、読むことはなかっただろうが、第147回直木賞候補、第10回本屋大賞第3位にもなった作品ということもあり、
絵画にまつわるミステリーが、どんな味付けになっているのだろうかという興味もあり、読んでみた。
今まで、ルソーという人がどんな作品を書き、どんな評価を受けていたのかまったく知らなかった。
ルソーの絵に登場する人物は大概、真正面向きか真横向きで目鼻立ちは類型化し、
風景には遠近感がほとんどなく、樹木や草花は葉の1枚1枚が几帳面に描かれているという。
一見稚拙に見える技法を用いながらも、彼の作品は完成度と芸術性が高く、独創的な絵画世界を創造したとして評価が高いそうだ。
ネットで、いろいろ作品を見てみたが、確かに稚拙な感じがしないでもない。しかし、なぜか引きつけられてしまう不思議な絵が多い。
本作では、ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンと研究者の早川織絵のどちらが、アンリ・ルソーの大作『夢』の真贋を正しく判定できるかという流れで進んでいく。
判定する材料としては、誰が書いたかもわからない謎の書物を毎日少しずつ読み進め、1週間後にその感想と共に真贋を判定するのである。
美術品の専門知識がなくても、書物の内容を読み進んでいくうちに、ティム・ブラウンや早川織絵とともに真贋を考えてしまっていた。
また、ルソーとピカソの関係も興味深く、『夢』の下にはピカソの絵が描かれていたかもしれないというのも面白かった。
ただ、謎は謎のままで、明らかにされぬまま終わってしまう。
実際、これらの絵画は実存するわけで、謎が明らかになってしまうことはないのだろう。
あくまでもフィクションであり、絵画の世界にどっぷり嵌ってみてはいかがでしょうかという作者の願望と意図も感じられる。
一つの絵画作品にも、それらが描かれた背景を知ったうえでじっくり鑑賞すると、さらに興味が湧いてくるに違いない。
「もう大丈夫!」宣言を待ってま~す♪
を 思い出しました。
何をやる気力もない
と おっしゃっていながら しっかり読書を・・それも 普段とはジャンルの違うなんだか難しそうな本をキチンと読んでいらして さすが とっちーさんです。
体調の悪い時、気力の湧かない時は ブログも時々お休みしてお好きなことだけで のんびりお過ごしくださいませ。
寝込むほどではないけど、喉の調子が今一つ。
今年の風邪は長引きます。
今年の行きたい場所の計画が大分進みました。
じっくり本を読んだり、ノートにいろいろ書き込む時間ができました。
ITから奪われた時間を取り戻したという感じですね。