とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

フォルクスワーゲンの違法ソフトの中身

2015-09-25 22:14:41 | 
フォルクスワーゲンが違法ソフトを使ってアメリカの排ガス規制を回避していたというニュースには、ビックリした。この違法ソフトを搭載した車は1100万台に及び、この事で課せられる制裁金は2兆円を超えると言われているというのだから、世界的企業の存続にかかわる大事件だといえる。

世界的企業の信頼を揺るがすとんでもない話だが、違法ソフトでどうやって排ガス規制を逃れることが出来たのかが気になった。テレビや新聞では、そのあたりの事が詳しく報道されていなかったので、ネットで調べてみたら、そのソフトの中身がいろいろ分かってきた。

違法ソフトが搭載されたのは、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン車である。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと比べて圧縮圧力が高く、燃料は点火プラグがなくても自然着火し燃費が良く、燃料価格もガソリンよりは安い。しかし、オイル、空気、燃料フィルター交換の回数が多くなるという特徴があり、排ガスは、黒煙を排出するため汚染度が高くなり、有害物質の窒素酸化物(NOX)の排出量も大きい。したがって、燃費が良くて窒素酸化物の排出量も少なくするという事は、相反する事項だけに技術的には大変難しいことなのだ。そんなディーゼルエンジン車を「クリーンディーゼル」と大々的に宣伝して売り上げを上げていたのには、こんな黒い事情があったという訳である。

さて、その違法ソフトの中身がどんなものかというと、米国EPA(環境保護局)の試験走行時には排ガス規制に適合するように、通常走行時にはエンジン性能を最大化するようにと、排ガス低減装置の一部もしくは全部を無効化するように切り替わるようになっているそうだ。ソフトは、ステアリング操作やスピード、エンジン持続時間や圧力などの要因を分析し、試験走行なのか通常走行なのかを「正確」に判断するという。つまり、試験の時だけ、排出ガス浄化機能をフル稼働できる巧妙な仕掛けが施されたものだったということらしい。違法ソフトを作る技術だけは、すぐれていたようだ。

しかし、ユーザーに渡った時点で、排ガス浄化機能が無効化され、有害な窒素酸化物がまき散らされて市内を走っていた事になるのだ。EPAによると、NOx(窒素酸化物)は、最大で米国の排出ガス基準の40倍にも達するという。この違法ソフトの存在がわかったのも、EPAの詳しい調査結果から発覚したそうで、こんな小手先で規制を逃れていたというのは、あきれるばかりである。「企業コンプライアンス」という言葉が、最近は重要なテーマとなっており、一部社員の「企業コンプライアンス」から逸脱した行為だけで、世界的企業の存続にかかわることは間違いない。