とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「さわやかに夏を」大谷康子さん&榎本潤さん

2014-07-03 23:49:54 | 社会人大学
今年も、ヴァイオリン奏者の大谷康子さんがピアニストの榎本潤さんと共に社会人大学にやってきた。大谷さんは、16年連続となるそうでこの社会人大学がお気に入りで、とても楽しみにしているという。特に浜松は、音楽の街ということもあり観客の反応が他の街に比べとてもいいという事らしい。

まず、最初の名曲は、毎度おなじみのエルガーの「愛の挨拶」だ。この曲は、エルガーが8歳年上の愛する女性に捧げた曲である。大谷さん曰く、符号が並べられた譜面を正確に間違えずに演奏するのが名演奏という訳ではないと力説する。演奏するうえで、その曲が作られた背景、作曲者の思い、誰のために書いたのかという事を知っておかなければならないという。この話をした後、もう一度「愛の挨拶」を演奏してくれたのだが、最初は譜面通り正確で演奏者の思いが入っていない弾き方だ。その次に、エドガーの思いを汲んだ大谷さんが思い入れを一杯こめた演奏となった。両方を聴き終えてみて明らかにその違いが良く分かった。後者のほうが、やはり愛する女性に捧げたいという思いがすごく響いてきた。この思い入れをどう表現するかというと、もちろん気持ちだけで済むわけではない。ヴァイオリンの場合は、弓に張られた馬の毛の使い方で調整するのだという。強くひいたり弱くひいたりして強弱をつけることで曲の感じが全く変わってくるのである。やはり、名演奏家というのは、こういった微妙な部分をうまく弾き分けることが出来るから人の心を打つのであろう。

次に、ヴィヴァルディの「四季」を春、夏、秋、冬と分けて演奏。それぞれの季節を表す特徴を詳しく解説された。普通のクラシック演奏会では、こういった解説など聞けることはない。久々に音楽の授業を受けているような感覚もあったが、一流の演奏家の解説とあらば勉強になる話だ。「四季」の次は、一転して「日本民謡の組曲」となり、茶っきり節などをヴァイオリンとピアノ演奏で聴く。

榎本潤さんは、日本唱歌の合唱指導を最近では精力的にやっているそうで、大谷さんの演奏の後、この会場でも懐かしい日本唱歌の合唱指導があった。曲目は、「ふるさと」「春の小川」「朧月夜」「こいのぼり」「茶摘み」「夏は来ぬ」「我は海の子」「村祭り」と我々の世代なら、間違いなく歌詞カードなくても歌える曲ばかりだ。小学校以来であろう懐かしい唱歌を全員で歌った。参加者は、年配の女性が多かったが、皆さん思いのほか美しいコーラスで感心した。流行の歌を歌うのもいいが、やはりどんな世代でも共通して歌えるような歌も残していかねばならないと思った。

最後は、ハンガリー舞曲の演奏だったが、アンコールで今流行の「アナと雪の女王:Let It Go」 を演奏。昔からの曲も大事だが、流行もしっかり掴んでいるところは、やはりプロである。この曲を聴くと何だか勇気が出そうになる。最後に得したような気分になったのも確かである。