とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「みず」の話

2009-08-01 22:00:58 | エコ
グリムスからのメールで、「みず」に係わるブログエントリーの要請があった。自分が書ける「みず」の話は何かと考えて、山からの水の流れの話を書いてみることにした。

山に何度も登っていると、大きな川の源流と呼ばれる場所に出会うことがある。一番思い出深いのが、埼玉県・山梨県・長野県の県境に位置する甲武信ヶ岳の長野県側斜面(南佐久郡川上村)にある千曲川の源流である。大きな沢の流れをさかのぼっていくとやがて小さな岩穴の間から、小さな雫が流れ落ちる源流にたどり着く。まさに雫がポトポトと垂れていた。コップに貯めて一口飲んでみた。ここからあんなにも大きな川の流れになっていくのかと思うと感慨深かった。

千曲川は、、川中島で飛騨山脈を源流とし松本盆地(松本平)から北流してきた犀川と合流した後北東に流れ、新潟県に入って信濃川と名前を変える。信濃川は日本で最も長い川である。あの山奥の一滴の雫が広大な川に流れになっていくなんて凄いことである。他にも、北アルプスの水晶・鷲羽尾根にある岩苔乗越の直下にある雫の一滴は、三俣山荘のある尾根と祖父岳の尾根に挟まれた沢となり、黒部峡谷を作る黒部川の流れとなる。この源流は、日本で残された数少ない秘境と言われる場所でもある。

また、日本一の山、富士山への降水量は平均して1日約600万トンと計算され、そのうち25%が蒸発し、残り450万トンがほとんど、地下へしみ込むと言われている。しみ込んだ水は溶岩層に覆われた砂礫層や溶岩層と溶岩層の間を満たし、伏流水となり、やがて溶岩層の末端の山麓で湧き出ているとされている。この水は何十年もかけて移動して柿田川、白糸の滝、富士五湖、忍野八海などの有名な湧水になっているそうである。

日本は急峻な山が多く、樹木に蓄えられた水分や、岩や地表から染み込んだ水は、小さな沢から大きな川の流れとなり海に注いでいる。この水の移動が日本人にとっては大いなる自然の恵みとして、美味しい水を飲める環境になっているといえる。だから、樹木を伐採しすぎたり山を削ってしまうことは、洪水の発生を促し、美味しい湧き水をなくしてしまう。山は水の保水や治水といった点からも大事にしていきたい自然なのだ。