とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

立山に生きる奇跡の鳥 ライチョウ

2009-02-27 22:18:46 | 山登り
NHKの『金とく』という番組でライチョウの生態についての放送があった。8メートルもの雪が積もる北アルプス・立山。その厳しい世界で生きるライチョウは、「氷河期の生きた化石」と呼ばれてる。年に数回北アルプスに登ると、運がよければライチョウに会える。高山で出会える生き物の中ではライチョウに会えた時は特に幸せな気分になる。

番組では、ライチョウたちが懸命に生きる姿を一年にわたって撮影していた。初めて見た映像もたくさんあり、貴重な映像を見せてもらった。ライチョウの体の特徴は3つある。1つ目がアイゼンの役目の滑り止めになる足の爪、2つ目がピッケルのように尖った嘴、3つ目がダウンジャケットのように温かい羽毛である。この3つの特徴が厳しい雪山の中で生きていくことができる要因である。特に足の形はウサギの足に似ている。ライチョウの学名が「ウサギ足のだんまり屋」というのは面白い表現である。

ライチョウの縄張りはハイマツ帯の中である。冬は雪の下にあるハイマツを鋭い嘴で突っつく。雪が溶け花が咲き出すと、花に集まる虫を食べる。花が終わり実がなると果実が餌となる。日本全体でのライチョウの生息数は3000羽といわれており、立山が最も生息数が多いそうだ。立山は、ライチョウが生息する条件が最もいい地域であり、まさに楽園なのである。

ライチョウが面白いのは、山の景色にあわせて姿を変えることである。夏はまだら模様で岩肌のような羽の色をしているが、冬になると純白の羽に変わる。これは天敵のハヤブサやオコジョ等から身を守るためである。冬は雪に中に同化、夏は岩に同化してハヤブサの目から逃れる。また、天気のいい時は、ハイマツ帯の下に隠れ行動しない。出会えるのは、ガスがかかり視界が悪くなった時が多い。気圧の変化を感じ取り、天気が悪く空から見つけられないような時に行動するのである。だから、ライチョウに出会うと天気が悪くなると言われている。

番組に中で、特に驚いたのがオス同士で縄張り争いをするシーンである。飛ぶことがないと思っていたライチョウが別のオスを追い払う為に見事に飛んでいた。飛ぶのに疲れると走りながらバトルを繰り広げるシーンにはびっくりした。まさに壮絶な肉弾戦である。この戦いに勝ったオスだけがメスと交尾して子孫を残すのだ。7羽ほどの雛が孵るが1年を生き延びるのは1羽か2羽しかいないそうだ。その厳しい自然の中で生き延びているライチョウはまさに奇跡の鳥である。このライチョウにまた出会えることを楽しみに、アルプスの山々に今年も出かけてみたい。