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雲南の米②

2009-03-01 20:37:10 | Weblog
中国の家庭で普及している炊飯器。(建水の街中の家電店「生活芸術館」にて。)タイマー機能などはなく、食べたい時の30分前に「がちゃり」と真ん中のレバーを押し下げると、電源が入り炊き始める昔懐かしい単純な構造。当然、日本の炊飯器技術で作られたので、ジャポニカ米を炊くのに向いている。
 また炊飯釜の上部に取り付けるすのこ状の「蒸し器」が付属品として付いているところが、日本とは違う。炊飯釜に水を張り、蒸し器を置けば饅頭なども作ることができる。

【生活に溶け込む米線】
 米線は昆明市内だけで毎日180トンから200トン消費されているそうです。(昆明市の人口は509万人〈2007年統計〉なので一人あたり毎日350グラム食べている計算に。昆明には3食米線の人が存在する!)

 その8割以上が生麺の鮮米線で、市内15の工場でつくられています。保存が効かないため、毎日、作らなくてはなりません。単純計算だと一つの工場で平均10トン強作られているわけです。

 その一つ「穂豊食品」は、広東省や広西省の大工場を視察して、雲南にも大量生産で効率のよい工場を造りたいと2007年末に日産30トン体制を整えました。米線を衛生的に250グラム単位で袋につめてスーパーなどで売る計画です。食品を監督する市の品質監督局もバックについて、衛生的で質量のごまかしのない米線の普及を目指そうとしたのです。

 ところがその後半年以上たっても、販路を拡大できず、1日1時間程度、機械を稼働させるだけ、という寂しい日々を送っているそうです。米線は店でも個人でも、竹かごに並べられたできたてを量り売りで買う習慣なので、その習慣を変える、というのは並大抵のことではないのでしょう。(『都市時報』より)

【品質を重視した配合】
 また、味にうるさい固定客を納得させようと、当然、工場ごとに味を競うことにもなります。米線はインディカ米が主体だとしても、ジャポニカ米との配合比率が重要なのです。

 以前はまさに職人技でして、気候が変化したりするたびに、必ず使用する米でご飯を炊いて味や感触を確かめた上で、米の配合を決めたとか。現在は科学的にアミロース量などを測って、決断するそうです。

ちなみに米を水に浸けて発酵させる時、水温は30度から50度が適温。昔だと、夏はそのまま冷たい水を用い、冬は米線を煮立てた熱湯を足し入れて調整したそうです。

【水】
鮮米線の場合、できあがりの水分量は米1に対しできあがった米線が2.4~2.5倍となるのが一番おいしいのだそう。ところが80年代までは米を買うのも配給切符制だったので、その比率は1:2.8にまでなったとか。

 つまり1斤の米で2.8斤の米線が買えると、一面では喜ばれたのですが、その水増し米線が、90年代まで雲南の米線の評判を著しく落としたのです。

「ぼそぼそして、味もすっぱすぎてまずかった」とは当時を知る人の言です。
(つづく)
 
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