先日、熊本市において、ケースワーカー(生活保護受給者に対し、状況を把握し、様々な働きかけをする職員)が、生活保護費の返還金を着服していた不祥事が明らかになりました。
またこれとは別に、ケースワーカーが保護受給者の収入管理を怠り、支給漏れ70件や過払い25件が放置された不祥事も発生しました。
今回の件は、憲法25条の生存権に基づく、いのちとくらしを守る「最後の砦」である生活保護行政にかかわる不祥事であり、決してあってはならないものです。
不祥事を受け、「平和と民主主義・くらしを守る熊本市民連絡会」は、市に対して緊急の申し入れを行い、私も参加しました。
昨今、「不正受給」とのキーワードばかりがクローズアップされる生活保護ですが、実際に保護受給世帯が増えているのは、失業などの雇用破壊や低年金が原因です。
↓は、熊本市における生活保護受給開始理由ごとの年次推移
しかし一方で、一人ひとりの状況を詳しくつかみ、寄り添いケアをするケースワーカーの体制(人数)が追い付いていない現状があります。
社会福祉法では、80世帯につき一人の割合でケースワーカーを配置するよう定められています。
しかし、熊本市の現状は下表のように、一人あたりの平均受け持ちケースが110世帯を超え、じっくりとケースに寄り添い、生活・就労支援などができる時間的余裕がない状況も生まれています。
(↓クリックで拡大できます)
今回の不祥事についても、個人的な問題とともに、職員の人数や配置などの問題が根底にあるのではないかと考えます。
再発防止、そして一人ひとりの実情に応じ丁寧なケアができるよう、職員の増員や専門職の配置など体制の拡充が求められます。