たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

現に見ゆるまで美しきは紫陽花なり(泉鏡花)

2016-06-06 20:11:10 | 花とつぶやき

今日は水無月6月6日、
気象庁は5日午前、「関東甲信地方が梅雨入りしたと見られる」と発表しました。
平年より3日早く、昨年より2日遅い梅雨入りだという。



この時期、道野辺の徘徊路には彩りの異なる紫陽花。
花の付き方、色合いもさまざまに咲いています。



以前見た泉鏡花の句碑「森の紫陽花」の一節に、
その様を評した文がありました。
妖艶幻想作家の紫陽花を引用します。



「森の紫陽花」の全文は長くはありませんが、
妖しげな、おどろおどろしい文章です。
湿った井戸端に蚊柱が立って、
蜘蛛の巣の頬にかゝるも侘しかりなど、
鏡花の世界が展開されています。
その中の紫陽花についての部分を記します。



‥‥現(うつつ)に見ゆるまで美しきは紫陽花なり。
其の浅葱(あさき)なる、浅みどりなる、
薄き濃き紫なる、中には紅(くれない)淡き紅つけたる、
額といふとぞ、夏は然(さ)ることながら此の辺分けて多し。
‥‥紫陽花の花盛なり。



この一節を抽出して碑文に選んだ方はすごい人だと思います。