NEETな日常

<Not in Education,Employment or Training>

フリーター・ニートになる前に読む本

2005-05-17 19:51:58 | NEET
船橋情報ビジネス専門学校(千葉県)の企画広報室長、鳥居徹也さん(39)がニート対策の冊子作ったそうです。
その名も「フリーター・ニートになる前に読む本」。
報道によれば、正社員との生涯賃金に触れて、「年金を含めたら、な、なんと3億円近い格差が」。健康保険の説明では「ゴホンといったら諭吉(1万円)が飛ぶ」。フリーターになる若者に「『やりたいこと』にこだわりすぎた偏狭さを感じる」などとかかれているそうです。

「な、なんと」とか、「ゴホンといったら諭吉が飛ぶ」なんていう表現には親しみやすさを示そうという努力のあとが見られて好感が持てますね。
しかし、年金制度改革がやかましく喧伝され、保険料三割負担のご時世に何をかいわんや、と思ってしまうのは私だけではないでしょう。
また、やりたいことにこだわるのが、まるでわがままのように言われているのは同意できかねます。
この人は「労働」というものをどう考えているのでしょうか。だいたい企業側の合理化やリストラ、新規雇用制限などの問題には触れずに、フリーターの存在はすべてフリーターのせいのようにいわれるのでは、あまりに乱暴でしょう。

鳥居徹也さんはべつに船橋情報ビジネス専門学校の企画広報室長なんかやりたくもないし、「フリーター・ニートになる前に読む本」なんて作りたくも無かったけど、生活のため、金儲けのためだけに今の仕事に従事しているということなのでしょうか。だとしたら、かわいそうな人です。そんなかわいそうな人に食い物にされてしまうニートなわれわれは、もっとかわいそうですけど。

そんな冊子ですが、首都圏の各高校に配ったところ、これが思いのほか好評で一週間で一万部がさばけたそうです。フリーター対策の教材として使うということらしいのですが、そもそも冊子を読ませればフリーターの問題が解決すると思うほど、いまの高校教員はおめでたいのでしょうか。この「フリーター・ニートになる前に読む本」も、ちまたにあふれかえっているさまざまな「HOW TO」本やマニュアルものの一種に過ぎないでしょう。
それに、フリーターなんかになったらこんなに不利ですよ、人生の敗北者ですよ、といって脅すだけではなんの解決にもならないと思うんですけどね。
まあ、学校側としてはウチではちゃんとフリーター対策をしてますよ、という姿勢が示せればそれで十分なのでしょうけれどもね。卒業させてえしまえば、あとは野となれ山となれ。卒業生がフリーターになろうがニートになろうが知ったことではないですし。

4 コメント

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個にプレッシャーをかけるような方法じゃ、駄目ですよね。 (型なし)
2005-05-30 22:11:11
仰る通り、経済的問題、雇用体勢の問題を

残したまま、フリーター問題を語るのは

権限の無い人間に対する、ただの責任転嫁・・

・・もし違ったとしても、きちんと経済的な問題を否定せずに

話を進めると強固に責任転嫁と言う風に見えてしまいますよね。

本当、”では、あなたはやりたくもない仕事を

モチベーションが無いまま意味もなくやりつづけてるんですか?”

って聞いてみたいですね。この冊子作った人に。

同時に賛同する方々にも。



フリーター・ニートの

「『やりたいこと』にこだわりすぎた偏狭さを感じる」

と言う意見はよく言われてる事ですけど、

この手のやりたいことに

こだわりすぎた~って事を言う人の立場って

自分は働く事に意味を見出せてる、と言う風にしているが

その意味をきちんと成文化して問うような

問題(この場合はニート・フリーター)が噴出すると、

働く事についての根源的な答えが出せない。

と言うのもきちんとした根拠が無いにも関わらず

賃金を稼ぐ、と言う行為が経済モデルを作る以外に

何か意味的な行動になっている”筈だ”と言う憶測が自らのロマン主義の

リソースと、働く動機付けとの一枚岩になってるからだと思うんです。

(分り辛い文章で申し訳ない・・)

その労働・ロマン主義的な物がフリーターに対する

プレッシャーになってると思うんですが。



そして経済モデルとロマン主義のプレッシャーと言う、

二枚板に挟まれてしまった我々・・。
人はパンのみで生きるにはあらず (新人)
2005-06-03 01:39:19
お金を稼ぐ事がすべてじゃないですよね。

産業革命は労働力を飛躍的に増大させることになったわけで、単純に考えれば一人当たりの労働強度や労働時間はへるように思えるんですけど、実際にはその反対。仕事はきつくなるわ就業時間は延びるわで、まったくいいことないように思えます。

手塚治虫や松本零士の作品によく出てくる問いなんですが「人間が機械を使うのか、それとも機械に使われるのか」というのは、本当に重要な命題ですよね。

生きることとは働く事だ、といった人もいますが、それは決して賃金を稼ぐために何でもやれという事ではないでしょう。

働くって、どういうことなんでしょうね。



見えないということ (通りすがり)
2005-06-20 16:41:32
船橋専門ビジネスの卒業生ですが、ここの学校はほんとに親身になって就職活動に協力してくれます。卒業さえしてしまえばという記述ありますが、私がレベルの低い会社に行こうとしたら止めてくれたりしてくれました。自分の実力をほんとにいろいろ考えてくれて親身に進路相談に乗ってくれる学校です。しかもやめた後でも就職指導室にいつでもいってよいなど、また行ってる人もふくめて親切極まりない学校です。せめてネガティブな発言するならその学校にいってみてから発言してください。それに本をどれだけ読んでそこらへんにならんでるHOW TOと同じなのかデータで書いてください。どことどこが同じでどことどこが解決にならない記述なのか、子供じゃないんだから適当な誹謗中傷などやめたらいいと思いますよ。
ご意見ありがとうございます (新人)
2005-06-21 02:36:49
通りすがりさん



忌憚のないご意見、ありがとうございました。

船橋専門ビジネスの卒業生とのことですが、よい学校、またよい先生に巡り会えたようでよかったですね。



ところで、コメントを読むと、ちょっと誤解されているところがあるようなので、ひとこと書いておきます。

わたしの一番最後の文で、

「まあ、学校側としてはウチではちゃんとフリーター対策をしてますよ、という姿勢が示せればそれで十分なのでしょうけれどもね。卒業させてえしまえば、あとは野となれ山となれ。卒業生がフリーターになろうがニートになろうが知ったことではないですし。」

と書いているのは船橋情報ビジネス専門学校のことではありませんよ。

わたしが取り上げたのはあくまで「船橋情報ビジネス専門学校(千葉県)の企画広報室長、鳥居徹也さん(39)」が制作した冊子であって、鳥居さんの職場である専門学校についてはなにもコメントしていませんし、するつもりもありません。

わたしの言っている「学校」というのは、安易に冊子を導入してこと足れりとしている、「首都圏の各高校」のことです。

どうか、誤解のなきように。