ロシア軍、ヘルソンに増派で守りを強化か ウクライナが見方を変更
ウクライナの情報当局トップは24日、同国がロシアからの奪還を進めている南部の要衝ヘルソン市について、ロシアが守り抜こうとして兵士を増派している可能性があると述べた。
ウクライナはこれまで、ヘルソン市からロシア部隊が撤退する可能性があるとしていた。
ヘルソン市は、ロシアがウクライナ侵攻の初期に制圧した。しかしこのところ、ウクライナがドニプロ川に沿って同市へと進軍しており、ロシアへの圧力を強めている
ウクライナのキリロ・ブダノフ情報総局長は、ウクライナ紙ウクライナ・プラウダのウェブサイトで、こうしたロシアの動きを「情報操作」と断じた。そして、ロシアは「すべてが失われたという錯覚を生み出そうとしている」と述べた。
ロシアが「防衛戦」の準備か
ブダノフ氏はまた、ロシア軍が兵士を追加派遣しており、道路で「防衛戦」の準備を進めているとした。市民を避難させていることについては、ヘルソン市がウクライナに陥落した場合に面目を保つための見せかけの行為だと述べた。
ウクライナはこれまで、ロシア軍がヘルソン市から撤退しているとしてきた。その見解を今回、変えたことになる。ブダノフ氏は、「向こうは今、撤退の準備をしてはいない」と述べた。
BBCは、双方の軍の正確な地上での動きを検証できていない。ロシア軍が守りを固めているとの見方が出てきたことで、今後数週間のうちに激しい戦闘が繰り広げられる可能性が高まっている。
ヘルソンをめぐる動き
ウクライナは10月初めからヘルソン州に進軍している。軍によると、これまでに州内の約90集落を奪還しており、住民の数では合計1万2000人に上る。
ロシアが任命したヘルソン州当局者らは24日、民兵部隊の創設を発表。男性には参加する「機会」があるとした。
しかし、オデーサのウクライナ軍広報担当セルヒイ・ブラチュク氏は、この動きについて、住民男性をロシア軍に徴兵するための偽装だと述べた。
ロシアにとって、ヘルソンでの敗北は大きな後退となる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部と南部の4つの州について、「住民投票」の結果だとして併合を宣言している。ヘルソン州はその1つで、ヘルソン市は州都。
ヘルソン州は、2014年にロシアに併合されたクリミアへの玄関口となっている。