MacTiger!

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マンガ評論7「海神記」(諸星大二郎著)

2009-09-26 20:59:01 | Weblog
(ストーリー)
4世紀の古代日本、海洋民である海人(あま)たちは、天候異変、津波、不漁といった災難が続く中、海神の子、海童(わたつみ)とよばれる少年ミケツを中心に東にあるという常世をめざし、民族移動がはじまる。各地では衝突がおこり、戦乱を呼ぶ中、韓(から)の息長族は、この移動を利用し、倭国に領地をふやそうとする。諸部族の神々とぶつかりながら、海童を中心とした海人族たちの大移動の行く末はどうなるのか…

コミック

(評価)☆☆
正史には書かれていない海人族の謎の4世紀における民族大移動を描く前人未到の物語。記紀神話における海洋神話(海幸山幸など)や風土記、さらには神功皇后神話の背後に潜む海の女神、古来日本の童神信仰をモチーフに、大胆な書かれざる架空古代史もの。これは諸星大二郎にしか描けません!一応初期設定は、邪馬台国滅亡後の倭国、大和朝廷勃興期らしいのだが、「ヤマタイカ」の火の民族みたいに海人族の東、おそらく最終目的地は畿内ヤマト?への大移動物語は、古代史の既成概念をふっとばせるパワーです。ただし、ストーリーテラーとしては、同じ著者の「西遊妖猿伝」には及ばない。キャラクターがわかりにくいんですね。神々の信仰と政治権力の相互利用関係とか、オカルト的な力の発現とか、起伏があっていい。巫女オオタラシ、わたつみのこぎ手イソラの役割、息長の将軍たちの野心、おもしろくなる要素はいろいろあるだが、いかしきれていない感じだ。しかも未完(涙)。このまま、東へといけば、当然、ヤマト朝廷と衝突するはず。混沌とした神々の世界は、政治社会の混乱の裏返しだ。本編の最後の神託は、宗教的統一が社会統一へとむすびつく予兆をはらむ。神功皇后神話的には、神功皇后=オオタラシ、ミケツは応神天皇なんですかね。
そうそう前から気になっていたんだが、天武天皇は「大海人皇子」といわれていたんですよね。海人(あま)族と関連あるんですか、諸星先生?あと海部氏系図の一族とか関連してくるのか。
完結編かいてほしいです。

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