Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(361)

2021-01-27 00:10:00 | コラム
す「り」→「り」くるーと

いわゆる就職活動というものを、キチンとやったことがない。

感覚としては『キッズ・リターン』(96)の冒頭にちかい感じかな~。

「職探しだよ」みたいな、
まぁ彼は必死だったかもしれないけれど、リクルートスーツを着た子たちのように「この1年を賭けている」ところはなく、単にバイト先を探していたに過ぎないと。



ずっとフリーでやってきたしね、
ただ去年、まぁなんか毎日コロナについて記している気がするのが哀しいが・・・
必要に迫られて数ヶ月間の「ソフトな」就職活動を経験し、自分が歳いっているのと、コロナ不況が重なって「仕事を探すのって、こんなに大変だったのか…」みたいな、そういう思いを抱いたりはした。


就職活動と、映画。

古くはチャップリンの『モダン・タイムス』(36)とか。

生きるのに必死なチャーリーとその彼女の夢は、マイホームを持つことだった。


フツーに働ければ、それだけでよかったはずなのにね…。


インパクトがあったのは、ダルテンヌ兄弟が撮った『ロゼッタ』(99)。


友人を裏切ってまで職に就こうとするヒロインに、現代でもこんなことがあるのかと驚いた。

しかし、それはまだ自分が現実をしっかり見つめることが出来なかっただけで。

『万引き家族』(2018)の安藤サクラだってそうじゃない、
突然の解雇なんて毎日、この日本でもきっと起こっているんじゃないかという。


『タクシードライバー』(76)のトラビスは仏頂面気味で、必死感はなかった。
ジョークいって怒れらる余裕もあったしね、そもそも不眠症だから仕事してみようっていう流れだった。
現代の感覚でいうとリアリティはあまりない、むしろ新海誠による『君の名は。』(2016)の瀧くんの面接、



『天気の子』(2019)の夏美さんのエントリーシートのほうにリアルを感じるでしょう。

どっちも必死感マックス、みたいな。


就職活動そのものをテーマにしたのが、直球タイトルの『就職戦線異状なし』(91)。

坂上忍!



その発展形というか、視点が幾層にもなっていて映画的に豊かなのが『何者』(2016)。




世の中の、たぶん9割超のひとが「職探し」「面接」「採用」「不採用」などに一喜一憂したことがあり、それを皮膚感覚で知っている。

だから脚本家や演出家は、そのあたりに細心の注意を払わないと、観客から「こんなの噓くさい」とダメ出しを喰らうことになる―就職活動そのものをテーマにした作品が「意外と」少ないのは、そのあたりに理由があるのかも、、、ね。


あすのしりとりは・・・
りくるー「と」→「と」らぶる。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(362)』
コメント
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