Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(356)

2020-11-26 00:10:00 | コラム
るとがーはう「あー」→「あー」としあたーぎるど(アートシアターギルド)

61年に誕生し、役目を終える92年まで商業ベースに乗り難い、しかし観る価値がおおいにある日本産のインディーズを制作しつづけた日本アート・シアター・ギルド、通称ATG。

いまATGの映画が好きだといってみても、40歳以上の文化に明るいひとか、映画を学ぶ学生さんくらいしか分からないかもしれない。

しかしATGがあったからこそオオシマやイマヘイ、吉田喜重、熊井啓が撮れた時代があって。


発足は61年11月15日。
当初は良質だが興行的には苦戦しそうな外国映画を配給・上映する「のみ」で、制作に携わることはなかった。

制作をも手がけるきっかになったのは、イマヘイ今村昌平が『人間蒸発』(67)の企画を持ち込んだことによる。

すでにイマヘイはスタジオの信頼を得たキャリアを築いていた―ものの、『人間蒸発』は大胆で野心的に過ぎる「疑似」ドキュメンタリーゆえに、おそらく大手制作会社「首脳陣」の首を縦に振らせることは出来なかったのでしょう、
そこで、独立プロダクションと折半する形で「1000万円規模」の映画を制作していくことに決めたと。


以下、特筆すべきATG産の映画を挙げてみる。

日本映画「近代」史そのものになっているの、スゲー!
そして、オオシマの充実ぶりっていったら!!

やっぱりなくなったの映画界にとって損失でしかないな。
代わりになるのがディレクターズ・カンパニーや、アルゴピクチャーズなのかと思っていたのだけれども・・・
前者はATGと同じ時期に倒産しているし、後者は、潰れてはいないけど元気ないのだよな~。


※制作年度順


『憂国』(65)
『とべない沈黙』(66)

『人間蒸発』(67)…メタフィクションの創りを、このころに試していたんだぜぇ。。。




『絞死刑』(68)…予告編ナレーションも、オオシマによるもの。

最後の「ゲバラたち」に感動!!




『初恋・地獄篇』(68)
『肉弾』(68)


『心中天網島』(69)…篠田正治の最高傑作でしょう



『少年』(69)
『薔薇の葬列』(69)
『エロス+虐殺』(70)


『書を捨てよ町へ出よう』(71)…寺山修司もATGに救われたひとり



『儀式』(71)
『あらかじめ失われた恋人たちよ』(71)
『津軽じょんがら節』(73)
『田園に死す』(74)
『祭りの準備』(75)


『青春の殺人者』(76)…未だ待望論の根強い、長谷川和彦デビュー作



『サード』(78)
『曽根崎心中』(78)
『もう頬づえはつかない』(79)


『赫い髪の女』(79)…荒井晴彦×神代辰巳×宮下順子、しびれる



『ヒポクラテスたち』(80)…大森一樹の最高傑作。ほんとうは、こういうの撮りたいんじゃないかな、いまでも。



『ツィゴイネルワイゼン』(80・トップ画像)…鈴木清順の完全復活もATGのおかげ

『ガキ帝国』(81)
『遠雷』(81)


『転校生』(81)…真の意味で、ATG最初のヒット作かな



『TATTOO<刺青>あり』(82)


『家族ゲーム』(83)…そして、最大のヒット作



『廃市』(84)


『逆噴射家族』(84)…小林克也とか主人公に持ってこようと思わないしフツー。そして脚本は、小林よしのりなんだぜぇ。。。



『お葬式』(84)


『台風クラブ』(85)…いま観ても、なんかざわざわしてくる映画よね



次回のしりとりは・・・
あーとしあたーぎる「ど」→「ど」らえもん。

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明日のコラムは・・・

『ぴっかぴか給湯器』
コメント
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