Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(322)三國連太郎

2016-04-15 00:10:00 | コラム
23年1月20日生まれ・2013年4月14日死去、享年90歳。
群馬・太田出身。

じつは自分の生まれ故郷・館林の隣「太田市」で生を受けた三國連太郎(みくに・れんたろう)さん、

ちがうよ! というブーイングを覚悟でいえば、自分にとっては和製マーロン・ブランドかなと。

181cmの長身と、あの風貌。
役の作りこみ。

ねっ。
似ていなくもないでしょう。

映画監督というより、スタジオと「よく」揉めていたところもブランドと一緒。

当時の俳優さんは生き難かったとも思うのですが、契約した俳優はほかのスタジオの映画に出てはいけないという「五社協定」なるものがあり、三國さんは、その「違反者第1号」だったのです。

ほんとうかどうか分かりませんが、大船の撮影所の扉には「犬・猫・三國、入るべからず」という看板が立てられたのだとか??

個人的に親近感を抱くのは、「短小・包茎・早漏」を公言していたこと。
それでもひじょうにモテたのですから、じつに痛快な俳優さんでもあります。


実子の佐藤浩市は、とーちゃんよりも「明らかに」二枚目ですが、目のあたりが、なんとなく親子だなぁって。




黄金期~近代にいたる日本映画史を語るうえで「絶対に」欠かせない名優、その5傑を勝手に選んでみますと・・・

『飢餓海峡』(65)
『切腹』(62)
『復讐するは我にあり』(79)
『神々の深き欲望』(68)
『ビルマの竪琴』(56)

・・・になるでしょうか。

重厚感―そう、このことばがこれほど似合う日本人も居なかったと思うのです。


※この大大大大大大大大大大大大大傑作が、キネ旬の、この年の5位という「下位」だとは!!




<経歴>

太田市で生を受けるも、実際に暮らしたのは数ヶ月くらい。
父親の仕事の関係で青春時代を静岡で送る。

43年―召集令状を受けるも「生きたい」と逃亡を図る。
だが憲兵に捕まり、歩兵連隊に。

復員後は様々な職に就き、なんとか食いつなぐ。

数年後―松竹のプロデューサーにスカウトされ、松竹大船撮影所の演技研究生となる。

映画俳優デビュー作は、51年の『善魔』。
二枚目俳優・岡田英次の代役としての出演であり、この映画の役名こそ「三國連太郎」なのでした。


それでは圧巻のフィルモグラフィを、ドドドドドドドドッと。

51年…『少年期』『命美わし』『稲妻草紙』
52年…『本日休診』『美女と盗賊』
53年…『赤線基地』
54年…『泥だらけの青春』『宮本武蔵』
55年…『警察日記』
56年…『ビルマの竪琴』第一部・第二部
57年…『異母兄弟』『鷲と鷹』『美徳のよろめき』
59年…『キクとイサム』

60年…『大いなる旅路』

宮本武蔵シリーズで、沢庵宗彭を演じる。

『宮本武蔵』(61)
『宮本武蔵 般若坂の決斗』(62)
『宮本武蔵 巌流島の決斗』(65)

61年…『飼育』
62年…『破戒』『切腹』
63年…『無法松の一生』『陸軍残虐物語』
65年…『怪談』『飢餓海峡』『にっぽん泥棒物語』
67年…『座頭市牢破り』

イマヘイ今村昌平に出会う。

68年…『神々の深き欲望』
69年…『新選組』

70年…『野獣都市』
71年…『戦争と人間』第一部 運命の序曲 『真剣勝負』『甦える大地』
72年…『戦争と人間』第二部 愛と悲しみの山河 『座頭市御用旅』『約束』『旅の重さ』
73年…『戒厳令』
74年…『卑弥呼』
75年…『わが青春のとき』『金環蝕』
76年…『はだしのゲン』『妖婆』『犬神家の一族』
77年…『八甲田山』『霧の旗』
78年…『皇帝のいない八月』『野性の証明』
79年…『復讐するは我にあり』『あゝ野麦峠』


『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』(80)、『セーラー服と機関銃』(81)、『未完の対局』(82)、『人間の約束』(86)、『マルサの女2』(88)、『嵐が丘』(88)。

88年より、人気シリーズの『釣りバカ日誌』がスタート。
全21作、2009年までつづく松竹の看板映画となりました。

『利休』(89)、『息子』(91)、『ひかりごけ』(92)、『大病人』(93)、『女ざかり』(94)『夏の庭 The Friends』(94)、『三たびの海峡』(95)、『生きたい』(99)。
『大河の一滴』(2001)、『北辰斜にさすところ』(2007)、『大鹿村騒動記』(2011)。


2013年4月14日―。
急性呼吸不全により、90歳で死去。

遺作は、2012年の『わが母の記』。

最後のことばは、「戒名は要らない。三國連太郎のまま逝く」だったとか。

最期の最期まで、かっけー俳優さんでした。

合掌。


次回のにっぽん男優列伝は、水谷豊さんから。

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明日のコラムは・・・

『「あり。」と「なし。」』
コメント (3)
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