カンヌ映画祭出品のたびに賞レースに絡んでくるダルデンヌ兄弟監督の最新作。児童映画のような素朴なタイトルだが、現代の過酷さを背負う一人の少年が描かれる。
父親に捨てられた少年と彼の里親になる女性を軸に語られる物語は、感情移入を拒むかのように距離感を保ちながら淡々と進められ、流れるようにというよりは、小さな角張った石があちこちにぶつかりながら転げていくような印象である。
その「淡々」の中の起承転結は、「転」が三回くらいあって最後が静かに結ばれる。ほろ苦さの残る幕切れだが、少年の人生再スタートを示すかすかな予兆がある。
ダルデンヌ兄弟映画常連のジェレミー・レニエが少年の父親役を演じており、見方によっては兄弟の前作「ある子供」の続編のようにも見える配役の妙がある。