prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ヒーローショー」

2010年06月04日 | 映画
風貌と言動からしてそう見えにくいと思うけれど、井筒和幸監督って意外と観念的なのですよ。
アメリカン・ニューシネマが原点だからそうなるのだろうけれど。今回はその観念性があまり良いほうに出なかった。

もともとの暴力をもたらす鬱屈のもとである相手が、仮面ライダーですら、妙にひねくりまわした設定がまかりとおっているのだし、ここでの幼児向けヒーローショーに象徴されるだろう「正義」とはどうもズレている。
この日本を息苦しくしている「正義」っていうのは、たとえば言葉狩りを強要する奴であり、「子供のために」を大義名分にしてアヤつけてくる連中であり、大新聞・大マスコミのもっともらしい論調であり、でね。

格差社会、というのも、誰かの(たとえば小泉純一郎の)せいにできることではないはずですよ。ぐるっと巡って自分に返ってくる。どんなに関係ないつもりでも。
だからたまに失言した相手を槍玉に上げて感情的に叩きに叩く、ということになる。
ここでは意図的に格差の下の方を描いているわけだけれど、下見ているだけでは見えない部分ってあります。
(☆☆☆)


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ヒーローショー - goo 映画

「カシム・ザ・ドリーム」

2010年06月03日 | 映画
「松嶋・町山の未公開映画を見るTV」にて。

内戦中の(今でもそうだが)ウガンダで6歳で誘拐されて少年兵にされたカシム・オウマが、ボクシングの才能に恵まれていたので海外に出られたのを機にアメリカに亡命してチャンピオンにまで上り詰め、なんとか特赦を受けて祖国に帰るまでに至るのを追ったドキュメンタリー。

父親が「脱走兵」の家族というので殺されているのを知るあたりは見ていていたたまれなくなる。

故郷に戻ったオウマが、子供による虐殺(子供を虐殺するのも当然伴っているだろう)を、忘れないようにと子供たちに演じさせている芝居のリハーサルを見るシーンがなんともいえない感じ。
日本だったら、こういう芝居をさせるというのは子供に悪影響を与えるとクレームが来るだろう。

映画に出てこない話が映画の内容に輪をかけて厳しく、精神的な救いを求めてマリファナを使うと甘いものが欲しくなるので減量できなくなり、このところは勝てなくなっているという。

残念ながら、ウガンダでは今でも別の反政府組織のLRA(Lord's Resistance Army)が子供を誘拐して兵士に仕立てており、実にLRAの九割が子供で、十字架の形に進軍すれば(どういう風に進むんだ?)弾丸に当たらないと教え、迎え撃つ側も子供を撃つのは難しいというサイテーきわまる状況があると町山氏が解説する。


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Kassim The Dream 公式サイト

「ジェイン・オースティンの読書会」

2010年06月02日 | 映画

ジェーン・オースティンの作品と直接関係あるわけではないが、中産階級の多彩な恋愛模様を描いているあたりは通底している。作品の読み方にそれぞれのキャラクターが出ているらしいのだが、逆にいうとなんでオースティンを持出してくるのか。
オースティンを知らないと理解できないかのごとく見せかけている計算だとしたら、失敗。

これだけ見ていると、あまりぴりっとしない集団劇という感じ。読書会のメンバーそれぞれのドラマはあっても、各人の間の化学反応はあまりないのだから。
(☆☆☆)


2010年5月に読んだ本

2010年06月01日 | 
prisoner's books2010年05月アイテム数:15
イタリアン・ホラーの密かな愉しみ―血ぬられたハッタリの美学西村 安弘,矢澤 利弘,殿井 君人,伊東 美和,中原 昌也,馬場 敏裕05月08日{book['rank']

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)パトリック ジュースキント05月13日{book['rank']

ユリイカ2009年3月号 特集=諸星大二郎巖谷 國士,夏目 房之介,春日 武彦,竹熊 健太郎,円城 塔05月13日{book['rank']


しゃべれども しゃべれども佐藤 多佳子05月25日{book['rank']

吉本興業の正体増田 晶文05月30日{book['rank']

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iPadが発売された、といっても、この十五冊のうち図書館で借りて読んだのは十冊、買って読んだのは五冊どまり。余程の本でない限り、読んだら、あるいは仕事が終わったら処分する。となると今のところ、特に単行本二十冊分以上の価格のツールを買うアドバンテージはない。
積読状態の本の山をやっつけるのにも、だいぶかかるだろうし、新刊を急いで読む必要も習慣もない。
本というのはかさばって仕方ないから電子化は歓迎だし、事実音楽はデジタル化完了しているけれど、今のところ静観の構え。



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