prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ファイヤーウォール」

2006年04月13日 | 映画
先端ハイテクものかと思いきや、かなりオーソドックスなサスペンス・スリラー。
家族を人質にとって一家の主人を勤めにやらせて利用するあたりは、「必死の逃亡者」ばり。ああいう頼りになる父親役をやるとなるとハリソン・フォードもサマになる。老けた分だけハイテクで補っている感じ。

犬がふらふら出歩く癖、ラジコンカー、息子のアレルギー、など序盤に張られた伏線が後で全部立ち上がってくるあたり、なかなかよく考えていて嬉しくなる。
これでもかこれでもかと危機と見せ場が続く割に、あまりCGや爆発に頼らないのでモタれない。
最後には肉弾戦になるあたり、ハイテクよりそっちの方が映画向けだとわかっているみたい。
(☆☆☆★★)



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「かもめ食堂」

2006年04月12日 | 映画
見ていて、おなかがすいてきた。

舞台はフィンランドだけれど、ゆったりした感触は昔の日本映画のよう。鮭はともかくとして、お米とかあんなに日本の食材手に入るのかな。
なんでフィンランドなのかとも思うが、そうであっていけない理由もない。日本とはお互いユーラシア大陸の端っこの国同士というか。
なんで三人がフィンランドに来たのかもくどくど理由づけしていないのも、いい。

食堂のロケーションで窓の外にいる人がよく見えるのが生きている。道の向かい側がどうってことない景色なのも、なんとなくいい。
フルショットで芝居全体を捉えるショットが多いが、役者がうまいせいか十分もつし、もたれない。
(☆☆☆★★)

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「わが生涯のかがやける日」

2006年04月10日 | 映画
フィルムセンターでの「シナリオ作家・新藤兼人特集」での上映。「監督」ではないのに、御注意。
一般的な印象だと監督と脚本のウェイトが半々くらいの印象だが、以前講演で「私は監督ではないから、俳優にああしろこうしろとは指示できません。しかし、役の人物がどんな人間でどんな物の考え方をするかだったら、いくらでも説明できます」と言っていた。

「ある映画監督の生涯・溝口健二の記録」の構成のハコ書きが展示されていた。ドキュメンタリーなのだが、ドラマ同様に原稿用紙をつないで巻物みたいにしてずらっとシーンが書きこんである。隣には、きれいに削った鉛筆が数十本。生前の乙羽信子が一生の間には書ききれないくらいたくさん削っておいてくれたというが、その一部だろうか。

映画そのものは昭和23年の製作で、当時名コンビをうたわれた吉村公三郎監督。出演は森雅之、山口淑子(李香蘭から日本名に戻した第一作)、滝沢修、宇野重吉(寺尾聰そっくり、逆だけど)、清水将夫、加藤嘉ほかと、イカニモなキャスティング。

軍閥に戦前協力して自由主義者を殺した男が、その主義者の娘と愛するようになって良心に目覚め、戦後ものうのうと体制(新聞社!)の中で生き延びている元鬼検事と対決して倒し、娘に罪を告白して自首していくという、戦争悪が清算されていないことへの告発とメロドラマとを巧みに組み合わせたお話。
作られた時代のせいか、作者の体質か、戦争犯罪者の残党(ともいえない)が滝沢修のやたら凝った役作りもあって禍々しい。山口淑子がエキゾチック。

アクションシーンで銃で撃たれた鏡の扱いなど当時としては凝っていたのだろうが、いささか今の目で見ると間延びして見える。



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「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」

2006年04月09日 | 映画
原作は高校の時に読んだっきりなので、あらかた忘れていたが、見てみると、ライオンのアスランがキリストのアナロジーであることがあんまりはっきりしているのでちょっと驚いた。
「犠牲」になって死んでから「復活」するのだものね。
もっとも味方と敵の代表がケンタウロスとミノタウルスというのは、キリスト以前の世界も射程に納めているよう。

ライオンに限らずオオカミもキツネもビーバーも、よくもまあと思うほどリアルに演技している。
戦闘シーンで人間以外のクリーチャーが数限りなく入り乱れてかけずりまわるのには、CG全盛の今日にあってもどうやって造ったのかと素朴な意味で唖然とさせられる。
一方で冒頭の戦災にみまわれているロンドンの描写など、ずいぶんリアル。

オオカミが刺し殺される場面で刺さるところや血を直接には見せないあたりは、ディズニーらしい。
(☆☆☆★)



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「サウンド・オブ・サンダー」

2006年04月08日 | 映画
一羽の蝶が生きるか死ぬかで歴史がまったく変わってしまうというあたり、いやでも「バタフライ・エフェクト」という言葉(映画でもありましたね)を思わせる。原作で踏み潰される虫って蝶だったっけ。

「バタフライ…」というのは蝶の羽ばたきによる空気の動き程度のわずかな力が巡り巡って台風を引き起こすかもしれない、という喩えで使われているわけで、それを考えると人間が入り込んで動き回る方が空気の動きは大きいぞ。それ以前に恐竜が跋扈している時代で何度も銃をぶっ放しているのだから、たとえ生き物を殺さなくても、気候その他に与える影響は大きいのではないかと思ってしまう。

大過去を変えたために現在も変わってしまうというなら、そこに至るまでの人間の意識を形成してきた中過去小過去もすでに変わっているわけで、なんで「変わった」と認識できるのだろう。

…なんてマジメに考える映画ではなくて、要するに自然界が突然変異を起こして人間を襲ってくるコワさを描くのが見せ場なんだが、蔓植物が大発生したり奇形化した変なヒヒみたいなのが出てきたりと、昨今珍しいくらいのB級テイスト。
見る機会がないままだが、スチールなどで見る映画「ノストラダムスの大予言」みたい。なかなかアヤしげで、ブラッドベリ原作といっても詩情のカケラもなし。もっとも一種のサイドショー趣味というのはブラッドベリにもあると思うが。

撮影を監督のピーター・ハイアムズ自身が手がけているのはいつものことだが、怪物はもちろんCGのはずで、CGには本来「光」というのはないのだが、暗闇の中から浮かび上がったり眼だけ光ったりといった光と影の効果をしきりと狙っている。

ベン・キングスレーが鉄腕アトムを白髪にしたような髪型で登場、字幕には出なかったがしきりと「火星に最初に降り立ったブルベイカー」といったフレーズを繰り返す。もっともらしい分、かえって映画をアヤシゲにしているみたい。
(☆☆☆)



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顔ベルト

2006年04月07日 | Weblog
千代田線赤坂駅のエスカレーターのベルトに印刷されたTBSラジオの「エキサイト・ベースボール」の広告です。新キャスターの大魔神佐々木の顔がぐるぐる回ってます。
エスカレーターのベルトにまで広告出さなくてもよさそうなものですが。



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「君とボクの虹色の世界」

2006年04月07日 | 映画
自分の手に火をつけてしまったり、走っている車のルーフ上のビニール袋に入れた金魚がいて、止めたら落ちて死んでしまう、という場面など、妙に自分にも他者にも痛みを感じなくなっているオフビートな描写から始まり、調子は変ながら次第に生きている実感を取り戻していく構成が明確で、基本的にセンスで見せる映画ではあるがセンスに溺れていない。

ヒロインが高齢者タクシーのドライバーという設定や、中産階級が取り残されているうちに貧困層になってしまった感じなど、案外将来の日本のよう。

期せずして日本の「インストール」みたいなエピソードも出てくる。
デジタル映像だというが、スクリーンで見るとどこが違うのかわからず。悪く映像に凝っていないのはいい。
(☆☆☆★)



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「THE MYTH/神話」

2006年04月06日 | 映画
 

恒例のNG集で、「ひどい広東語なまりの北京語だ」なんてジャッキー自身が言っていたけれど、広東語でないジャッキー・チェン映画というのは、英語ほどではないけれどちょっと違和感あり。
香港映画が大陸中国の映画に吸収されるのだとしたら、ハリウッド進出と同じくマーケットの論理としてはともかく、単純に見る側としてはあまり嬉しくないな。
立ち回りのスピードがアメリカ映画で見るより落ちていない感じなのは、まわりの絡みなどの蓄積の違いか。

スジがなんだかうまく通っていない。不老不死とか反重力とかSF的なガジェットを使いすぎている割りに、それがどういう約束ごとの上に成り立っているのか無頓着なもので、何がなんだかよくわからない。物理学者や考古学者までやたらクンフーが強いのが、ゴ愛嬌。
兵馬俑を立体図にして空中に投影したような画像は、教育番組のよう。

中国でえらい人気だという韓国女優・キム・ヒソンがやたらと綺麗。
(☆☆☆)



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