prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」

2012年01月24日 | 映画
やたらと食べる場面が多い。砂糖をたっぷりかけた水まんじゅう、汁粉といった甘味から、干し芋など、全体に質素なもの。一般に海軍は食事が豪華と言われており、台詞でもそう触れているが、実際に豪華な食事をしているところは見られない。
山本家の食事である魚の煮付けと野菜の煮物、戦いにあたっての尾頭つきの鯛には手がつけられない。このあたりも戦いにあたって浮つかない性格描写になっている。

真珠湾攻撃をはじめいくつかの戦闘シーンがあることはあるが、あくまで背景にとどまりそれ自体が見せ場にはならない。もともと勝った勝ったで興奮を煽り立てるのとは相反する作りなのだから当然ではあるけれど、NHKの「坂の上の雲」の方がCG技術としては上(もっとも、あれは世界から各パートのトップクラスのスタッフを集めてきて作ったらしいけれど)。

渋面を作っていると役所広司が三船敏郎に似て見えたのにびっくり。似ているなんてまったく考えたことないのに。

新聞が参戦を煽り、多くの国民がそれに乗ってはしゃいでいるところをはっきり描いているのは、新しい視点ではないが説得力あり。これ朝日新聞だろ、と勝手に決めて見ていた。そう思うと大物記者役の香川照之が東大出というのが妙にはまる。

戦えるだけの具体的物質的な準備をしているのかどうかという山本の問いに、きわめて官僚的なごまかしとしか思えない答えしか返ってこないあたり、明らかに今の日本のアナロジーになっている。
ただ、山本が「開戦して半年や一年は暴れて御覧に入れる」と言ったのは描かれない。この発言は聞きようによっては言質を与えたものとも思えるが。

日本の海軍と陸軍がバラバラだったのは有名だけれど、海軍内部にも派閥争いがあって決して一枚岩ではなかったところがきっちり描かれる。

戦わないでいかに講和に持ち込むかという外交の一端として軍事を考えた軍人、というイメージが前はつかみにくかったが、今ではかなりわかる。
(☆☆☆★)

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