prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「グローリー/明日への行進」

2015年07月18日 | 映画
今どき偉人伝をそのまま作って通るわけもないので半ば当然だが、マーティン・ルーサー・キング牧師その人だけでなく周囲の人間をかなり描きこんでいる。
特にメディアを巧みに使ってジョンソン大統領との駆け引きに利用するあたりは、ガンジーの非暴力的抵抗の方法を取り込んでいるのだろう。ただ今だと権力側の方が積極的にメディアを利用するだろうなとは思った。

主演のデヴィッド・オイェロウォは、出てきた時ずいぶん若いと思ったが、実年齢はキング牧師が暗殺された時と同じ39歳。演説の大きくリズムをつけるような喋り方や声の質などびっくりするくらい実物そっくり。ただし演説の内容はスピルバーグが権利を持っていたので全面的に書き直されたという。演説の権利ってなんだと奇妙な気がする。キングその人と遺族以外にありうるのか。
「それでも夜は明ける」のキウェテル・イジョフォー同様イギリス人で、アメリカのアフリカ系より制約が薄いのかと思わせる。

こういう映画が作れるのは明らかにアメリカという国のいいところだけれど、一方でイギリスの資本と人財も入れないと作れないのかもしれない。

製作総指揮に「それでも夜は明ける」でプロデューサーとしてアカデミー作品賞を受けたブラッド・ピット。昔ロバート・レッドフォードの「リバー・ランズ・スルー・イット」でレッドフォードそっくりと言われた(他では別に似ていないのにね)けれど、かなり政治的に高い意識をもっている(かみさんもそうだが)あたりも受け継いでいる印象。

マーティン・シーンがタイトルに名前を出さずに出演。リベラルとしても有名(デモ参加で複数の逮捕歴あり)な人なので、映画の実現に一株かったということだろう。

黙々と大勢の人間が歩いていくという画は当時の記録フィルムとともに映像として強い求訴力を持つ。

ティム・ロスのウォレス知事の憎々しさ腹立たしさは相当なもの。こういう奴は今でもいくらでもいるだろうと思うとなお腹が立つ。
(☆☆☆★★★)


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グローリー/明日への行進@ぴあ映画生活

映画『グローリー/明日(あす)への行進』 - シネマトゥデイ


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