prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ばるぼら」

2020年11月28日 | 映画
初めのうち稲垣吾郎の人気作家がワープロで執筆していたのが途中から万年筆を使うようになったり(左利きなのがはっきりわかる)、音楽聞くのにLPを使ったりと時代設定をわざと曖昧にしてある感じ。
音楽が若松孝二の「十三人連続暴行魔」の阿部薫みたいなフリージャズ調なのも時代色なのかも。

原作のばるぼらのイメージにしてからが、60年代末から70年にかけてのフーテンのそれ(フーテンの寅が登場したのもその頃)なのを取り込んだのだろう。

撮影がクリストファー・ドイルと蔡高比(コービー・ツォイ)だが、(前者しか名前が出ていないサイトがあるのはどうかと思う、有名人偏重ではないか)、外国人の目を取り込みたかったのか。
新宿の風景のうち歌舞伎町の猥雑さと過剰に整理された西口を混淆させた。

二階堂ふみが誰かと思うような汚な作りの中にミューズの輝きとエロスを見せる。
稲垣吾郎の居心地悪そうな人気者ぶりも板についている。
渡辺えりがそのまんまでマンガを体現している。
女優さんたちがそれぞれ違うタイプながらセクシーで危ない。

原作がMangaであることメインタイトルとエンドタイトルで繰り返し表記している。

前半、主人公に絡む女たちが次々と奇怪な形でばるぼらに破壊される大胆なイメージの飛躍が怖くて面白いが、途中でばるぼら一人が相手になるとやや煮詰まった感じになってダレる。

英語表記だとばるぼらはBarbaraという普通の名前になる。

しかし、手塚真もそろそろ父親が亡くなった歳に近づいているのだな。死の匂いが後半強くなるのはそのせいかと思うのは考えすぎか。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。