オープニングの構成が「空の大怪獣・ラドン」で焼きなおされているので有名な映画。ただし、巨大な虫だけでなく、さらにそれを餌にしているラドンを見せて比較することで巨大感を出しているのは日本製のオリジナルな工夫。
他にもアリの習性を生かしているあたりは「ガメラ2 レギオン襲来」、壊れた人形を抱えた少女や女王アリの巣を焼き払うあたりは「エイリアン2」と、ずいぶん影響は大きい。
美人昆虫学者のジョアン・ウェルドンが飛行機から降りてくる時、わざわざハイヒールを履いた脚だけ見せてから紹介するのがいかにもなお色気サービスぶりで可笑しい。砂漠歩くのにハイヒール履いてくることないと思うのだが。
女王アリの飛行シーンなどは当時の技術では映像化できなかったとみえ、セリフで描写するのでちょっとダレる。
アリの鳴き声が割とセミの鳴き声に似ていて、西洋人は虫の鳴き声を美しいと感じないというウソっぽい俗説が頭をかすめたが、この場合美しい声だから怖い、という気がする。
作られたのは1954年、つまり「ゴジラ」と同じ年。「ゴジラ」そのものは「原子怪獣現わる」(1953)を参考にしているわけだが、たとえば当局が事件を隠し通そうとして、精神病院に入れられている目撃者を隔離したまま秘密を守ろうとするのを特に批判的でなく描いているのは、やはり原爆を落として保有している側の感覚。
(☆☆☆★)