prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「インドシナ」

2015年04月06日 | 映画
なんかフランスが大国だった時期の自慢と、現代の「政治的な正しさ」を折り合わせるのが前提ではなく目的になったみたいな映画。
「国をあげての大作」にありがち。

故・瀬戸川猛資がフランスの文化人がベトナム戦争に反対していたのに対して、もともとベトナム戦争の前身はフランスとベトナムが戦ったインドシナ戦争だろうとツッコミを入れていた。いつのまにか東西対決をアメリカに肩代わりさせて、フランス国内では共産主義にシンパシーを持ち続けながら非難するというのは、傍目には虫が良く見えるということ。

30年代から54年のジュネーブ会談による南北独立誕生にかけての設定で、この頃のベトナムでは漢字がかなり使われていて前は中国文化圏だったことがわかる(漢字を廃止してアルファベット由来のクオック・グー=國語に全面的に統一したのは1945年)。
中国と領土問題を抱えているわけだが、そのあたりにはあまり触れていない。そのあたりも政治的配慮か。

メロドラマとすると困るのは、軸にならなくてはいけないところのカトリーヌ・ドヌーヴとリン・ダン・ファンの血はつながっていない、どころか人種が違っていても強い絆があるはずなのが、あまりはっきり出ていないこと。そうすると後半ばらばらになって運命に翻弄されるあたりが散漫になるし、再会シーンも元の鞘に収まるのが特にベトナム側に「いいこと」として描くわけに行かない分ハッピーにはできないし、かといって運命の残酷さを感じさせるほどでもない。

ドラゴン島(ってどこだろう)のロケなど大作らしい壮大な風景は一応みどころ。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。