prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

一行小説集

2015年04月20日 | 小説

宮澤賢治が原稿を書いていると、書いた文字が立ち上がってお辞儀したというのは有名な話。
実はその場で紙の上に戻らずそのまま遁走した文字がいたのだが、行方はわからなくなっていた。
先日、その文字がうちの窓辺にいたのだが、俺にはお辞儀せず、腕組みして座ったままだった。


藁のように細い脚を持つ、掌ほどの蜘蛛がパソコンの画面にじっととまっている。たまにいらだったように画面を軽く脚で叩く。何が間違っているというのだろう。


新聞の隅に自分の死亡記事が載っていた。俺は新聞に出るほどの人間だったかと何度も記事を読み返したが、どういう業績を上げたのかさっぱりわからなかった。



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