prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ココシリ」

2006年07月04日 | 映画
標高4700メートルという人跡未踏の地、というのは実は皮肉なことにカメラで撮られたら人跡未踏ではなくなるわけで、それと「高さ」や「薄い空気」はそのままではカメラに写らないのですね。
撮影は本当に大変だったろうが、それが即ち映画的成果というわけには参らない。
フレームから外れた部分の広さというのは映画見ているだけではわからないのだし。

流砂の場面など「アラビアのロレンス」を思わせたりするが、あの映画ではマッチを吹き消すのと砂漠に朝日が昇るカットのすごいモンタージュその他で、「普通」とはまったく違う世界に一気に飛躍していた。映画的エンジンが強いというのか。

とはいえ、ほとんど男ばかりの登場人物の生活の苛烈さは十分描けていたし(隊長の面構え、よし)、500頭分を越す毛皮が地面いっぱいに広げられている光景はぞっとさせられる。相変わらず、辺境にAK47ライフルが顔を出す。
あれだけ厳しい環境だったら、もっととんでもない人間的光景が繰り広げられるかというと、そうでもない。
チベットだったら、中国侵攻の時よっぽどヒドい出来事あったのではないかと映画とは関係ないところに気が行ったりする。
(☆☆☆★★)



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