1966年製作。 江波杏子主演の博徒ものヤクザ映画、とはいってもヒロインは足を洗って堅気になっており、サラリーマンの男と結婚を誓って二度と博徒の世界には戻らないつもりでいたのが、父親がなぜかイカサマをやって渡辺文雄の若いヤクザに見破られて自殺したのをきっかけにじりじりとヤクザ世界に戻らざるを得なくなっていく。
渡辺が知的で合理主義的な現代ヤクザを好演し、陰謀の主であったことが判明してくると共に江波自身を狙ってくる展開の枷を締め付けてくる感じはヤクザ映画の定番ではあっても、やはり面白い。
小林節雄の撮影が大映得意の艶のある黒を生かして、ヤクザ映画の様式性と共にモダンなテイストも出している。プログラムピクチャーとはいってもスタッフの技術力の高さは見もの。
堅気とヤクザがきっちり分かれている価値観の世界だが、作中渡辺が言うように堅気というのはそんなに綺麗なものではない、というのは今では判りすぎるくらい判る。 イカサマを見破れるかどうかに主眼を置いたクライマックスはもう一押し、一捻り欲しいのが淡白に終わるのが惜しい。
「女の賭場」- 映画.com