prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「スノーピアサー」

2014年02月17日 | 映画
いったん滅んで資源やエネルギーがほぼ枯渇しているだろう世界で、どうやって列車を暴走させ続けていられるのだろう、あるいは暴走させなくてはいけないのだろうという基本的なところでひっかかった。
最近のディストピアものにありがちなのだけれど、設定が恣意的すぎて、こういう世界がありえるものだと説得的にリアリティを描きこむのがお留守になって、作品世界に浸る前に作者の意図や寓意が立ちふさがってしまうように感じることが多い。

列車が先頭に近づくほど階級が上になり、全体をひっぱるエンジンはエリートのリーダーが動かさなくてはいけないという図式は、世界の縮図の寓意であることがあたまから明白すぎる上にわざわざ終盤セリフで言ってしまう。寓意というのは作品を潜り抜けた後で出てくるもので、作品をひっぱるエンジンにはならない。

黒澤明がアメリカ映画デビューするはずだった「暴走機関車」がまず暴走ありきでそれをどう止めるかというプロセスの中に登場人物の人間性やテーマが浮かび上がってきたのを思い浮かばさずにはいられなかった。比較してもはじまらないことではあるが、通りついた世界を暴走する機関車という画はそっくりそのまま。

おおむね英語で通しているのだが、準主演のソン・ガンホが監督のボン・ジュノの盟友ということもあってかおおむね韓国語をしゃべって自動通訳機で訳している。
覆面している支配階級の護衛みたいな連中が日本語をしゃべっているのは忍者とアメリカの腰巾着のイメージということだろうか。あまりいい印象ではない。

韓国監督得意のはずのヴァイオレンス描写もスローモーションが多用しすぎて微妙に間延びしていた。
さまざまな国籍のキャストを使いこなしているのは立派。

極端に幅が詰まって奥行きが強調されたセット・デザインはおもしろい。
(☆☆☆★)

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