prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「愛、アムール」

2014年01月29日 | 映画
ずうっと老老介護のしんどいリアリスティックな描写を重ねていってラストでぱっと一種の聖性を帯びる飛躍ぶりがすばらしい。現実の結末を出だしで見せてしまうから単純にそこに回帰して終わるのかと思わせるだけにカタルシスは大きい。イヤな後味のばかりだったミヒャエル・ハネケ作品では初めてのこと。
鳩がどこからかアパルトマンに紛れ込んでくるのがリアルと聖性とのブリッジになっている。

オープニング、コンサートの客席だけ見せて音楽が聞こえてくるが、演奏しているステージ上は見せない。妻は元ピアノ教師という設定で中盤にCDの音楽を夫がかけるシーンがあるが、途中でやめさせる。それ以後、音楽はぴたりとかからなくなり、エンドタイトルですら無音。
音がなくなるのが逆手というか、夫婦にとっては音楽は日常の一部だったはずで、聞こえないより純化された音楽を聴いているのかもしれない。

二人の老優は実際に年取っていること自体が目を奪う。
(☆☆☆★★★)

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