prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「タクシー運転手 約束は海を越えて」

2018年05月26日 | 映画
武器を持たない市民に実弾を発射するのが衝撃。軍というのはそういうこともするのだという、実はあたりまえのことも画面で見せられると印象がまったく違う。
私服の軍人が警棒や、場合によっては銃を持って追ってくるのも凄く怖い。マックス・ウェーバーは「国家」を「正当な物理的暴力行使の独占を要求する共同体」いわゆる暴力装置と呼んだが、「正当な」という条件がたとえば北朝鮮のスパイとかアカとかいったレッテル貼りでいとも簡単に外れるのもわかる。

ちょっと裏道を通って隣町に行くとまったく違う国に出たかのように平和で、光州で行われている弾圧などまっさかさまな形で報道されているあたりの悪夢のようなリアリティ。
すぐそばのことでも、メディアを通してしか見ていないというあたりまえだが重要なことを改めて教える。

1980年の出来事というからそれほど昔ではないので、抵抗も弾圧もすごく激しい韓国と、異常なくらいおとなしい(というか飼い慣らされている)日本という彼我の差を感じざるを得ない。

意外とソン・ガンホは顔が庶民的なわりに背が高くて脚が長く、西洋人と並んでもバランスがとれる。
庶民そのものの感覚からイデオロギー的に目覚めるというよりはこういうひどいことを見逃してはいけないという自然な人間的感情の推移として見事に演じている。

「タクシー運転手 約束は海を越えて」 公式ホームページ

「タクシー運転手 約束は海を越えて」 - 映画.com

本ホームページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。