prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

6月16日のつぶやき

2020年06月17日 | 映画

「凱里ブルース」

2020年06月17日 | 映画
「ロングデイズ ・ジャーニー この夜の涯てへ |」のビー・ガン監督の26歳の時の第一作。

前半のとりとめのないカードを配っている感じと後半の超長回しでシャッフルするスタイルはここでほぼ出来上がっている。

原題が路邉野餐で、路傍のピクニックと読むならストルガツキー兄弟によるタルコフスキーの「ストーカー」の原作ということになる。
詩の朗読が全編に散りばめられているのもタルコフスキー調。

「ストーカー」では列車を音だけで予感的に表現していたのが印象的だったが、ここではなんと壁に映写される映像という戸惑うような方法で表現される。

長回しの中で初め追っていたキャラクターから全然別のキャラクターに乗り換えて追い続けるというあたり、ビリヤードの玉の動きみたいで、実際ご丁寧にもビリヤードが出てくる。
その人称性を欠いた、時に臨死体験のように夢幻的で、ひとつのカットの中にさまざまな時間と局面がシームレスに同居し変容していく表現の大胆さ。

長回しの手際は舟から岸に移るあたりで大きくカメラマンが姿勢を崩したり、ややぎくしゃくしたところがある。