prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「パラサイト 半地下の家族」

2020年01月15日 | 映画
広い意味での闖入者ものだが、安部公房の「闖入者」パゾリーニの「テオレマ」などは闖入される中産階級の人間の視点から描かれることが多かったが、ここでは闖入する側から描いているのが珍しい。

相対的に貧困状態に置かれているのだがそこで自嘲や無気力に陥ることなくふてぶてしく加害者側に転向するタフネスが見事。日本だと加害者側すら被害者意識に凝り固まることが多いのと対照的。日本で加害者意識で映画を作ったのは、ほとんど増村保造だけではないかと思ったりした。

考えてみると、一家は貧困に置かれていても実は十分な能力を持っている。家庭教師にせよ、運転手としても、家政婦としてもそれぞれ能力があるから金持ち一家に潜りこめてのでもあるし、逆に言うと能力があってもそれに見合った収入をまっとうな方法では得られないということでもある。

随所に南北分断の影が落ちているのは、言い方悪いが韓国映画の武器でもあるだろう。

街全体の高低差、屋敷の中の高低差を即格差として視角化した造形力が見事。
プロダクション・デザインが本当に秀逸。

相当に笑える映画だと思うのだが、満席フルハウスの客席からは意外と笑い声が起きず。やや真面目に見過ぎている気もした。





1月14日のつぶやき

2020年01月15日 | Weblog