八住利雄脚本・豊田四郎監督・仲代達矢主演による1965年東京映画(東宝)版。
1961年俳優座で同じ仲代主演で上演された「四谷怪談」が好評で映画にも主演したという経緯らしい。
直助が中村勘三郎(17代目・先日亡くなった18代目勘三郎の父親)でお岩さまが岡田茉莉子。
妹のお袖が中川信夫監督版の「東海道四谷怪談」で伊右衛門に横恋慕するお梅をやっていた池内淳子で、その父親が舞台版を演出していた小沢栄太郎といった役の交換を知っていると一興。
念仏堂の坊主が東野英治郎。仲代はずいぶん俳優座では雲の上の人たちと映画では主役で共演していたのだね。ヘタな芝居できないよなあ。
水谷浩による美術がすごい豪華で見事な出来だが、カラーということもあっておどろおどろしさという点ではかえって後退した感がある。
お岩さまのメイクは見せ方に非常に気を持たせるわりにあまりグロテスクでなく、仲代の伊右衛門の色悪ぶりとふてぶてしい屈折ぶりが中心にきた。伊右衛門を何より仕官できるかどうかで頭がいっぱいというキャラクターに仕立てている。
セットは天井までしっかり作ってあり、しばしば低いアングルから見上げるように伊右衛門を捉えると、仕官できない浪人者が世間一般から頭を押さえつけられているようなニュアンスがよく出た。衝立を小さなカーテンのように使い、巧みに芝居にメリハリをつけている。
勘三郎の直助は割りと軽くてスケベで、仲代の伊右衛門の剛に対する柔といった感じで、ワル同士でバランスがとれている。日本映画専門チャンネルの放映後のインタビューで、なんで歌舞伎役者というのはリアルな芝居をやらせると新劇役者以上にリアルな芝居ができるのだろうと語っていたが、本当になんででしょう。
音楽は武満徹。小林正樹監督の「怪談」あたりと比べると、画面に割とぴったり従ってつけていたように思う。「怪談」ではあえて一拍外すのが凄い効果をあげていたのだが。
本ホームページ
四谷怪談〈1965年〉@ぴあ映画生活
1961年俳優座で同じ仲代主演で上演された「四谷怪談」が好評で映画にも主演したという経緯らしい。
直助が中村勘三郎(17代目・先日亡くなった18代目勘三郎の父親)でお岩さまが岡田茉莉子。
妹のお袖が中川信夫監督版の「東海道四谷怪談」で伊右衛門に横恋慕するお梅をやっていた池内淳子で、その父親が舞台版を演出していた小沢栄太郎といった役の交換を知っていると一興。
念仏堂の坊主が東野英治郎。仲代はずいぶん俳優座では雲の上の人たちと映画では主役で共演していたのだね。ヘタな芝居できないよなあ。
水谷浩による美術がすごい豪華で見事な出来だが、カラーということもあっておどろおどろしさという点ではかえって後退した感がある。
お岩さまのメイクは見せ方に非常に気を持たせるわりにあまりグロテスクでなく、仲代の伊右衛門の色悪ぶりとふてぶてしい屈折ぶりが中心にきた。伊右衛門を何より仕官できるかどうかで頭がいっぱいというキャラクターに仕立てている。
セットは天井までしっかり作ってあり、しばしば低いアングルから見上げるように伊右衛門を捉えると、仕官できない浪人者が世間一般から頭を押さえつけられているようなニュアンスがよく出た。衝立を小さなカーテンのように使い、巧みに芝居にメリハリをつけている。
勘三郎の直助は割りと軽くてスケベで、仲代の伊右衛門の剛に対する柔といった感じで、ワル同士でバランスがとれている。日本映画専門チャンネルの放映後のインタビューで、なんで歌舞伎役者というのはリアルな芝居をやらせると新劇役者以上にリアルな芝居ができるのだろうと語っていたが、本当になんででしょう。
音楽は武満徹。小林正樹監督の「怪談」あたりと比べると、画面に割とぴったり従ってつけていたように思う。「怪談」ではあえて一拍外すのが凄い効果をあげていたのだが。
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四谷怪談〈1965年〉@ぴあ映画生活