prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「そして父になる」

2013年10月21日 | 映画
音楽がもっぱらピアノ曲を使っていて、それもブルグミュラーのやや程度の高い練習曲が実際に劇中で演奏されたりする現実音に近い扱い、グールドによるゴールドベルク変奏曲と天から降りてくるようなBGMとして併用されている。
前にカンヌで審査員特別賞をとった「トウキョウソナタ」もドビュッシーのピアノ曲を使っていた。カンヌで入賞したかったらピアノ曲を使うといいのかな。

この場合、子供にピアノを習わせるということが社会的ステイタスになっているわけで、両家の生活水準の違いを至るところで見せる、というか、高所得者というのはこういう生活しているのかと思って見ていた。子供がぴらぴらのシートみたいな鍵盤を車の中で弾いているとちゃんと音が出ている。貧乏していた武満徹が紙のピアノで練習したというけれど、見かけは似ていてもえらい違い。

ハリウッドで再映画化が決定したと伝えられたが、別に有難がることではないだろうと思うけれど、この場合相当に違うアプローチになるのが予想される。病院相手の訴訟ももっとごりごり争うことになるだろうし、片方の家で両方の子供とも育てたらどうかという提案ももっと吟味されるだろう。
現在公開中の「もうひとりの息子」だと取り違えられた子供がそれぞれイスラエルとパレスチナに分かれて育てられるというところから葛藤が始まるというが、いずれにせよこの日本映画みたいに葛藤をごく曖昧にするというのは他の国ではあまりないだろう。それも必ずしも逃げではなく積極的に曖昧さを選んでいるようなところがある。
福山雅治が実際は独身というのがニュートラルな視点持つひとつのポイントにもなっていると思う。

言い換えると、他の国の事情に合わせていくらも作り換えが可能なわけで、それ言い出したら子供を取り違える話などいくらでもあるではないかという気もするし、「ワンダフルライフ」のリメークも実現していないわけで、まあ生暖かく見守るだけだろう。

子供を送り届けるときに走る送電線の鉄塔が立ち並ぶ何も生えていないがらんとした畑の中の道を車が走る場所が、あとになって地面をフレームに入れないで電線だけのアップになる。一種の荒廃感から両者がつながる関係になるシンボリックな表現に見えた。

先日「凶悪」を見たばかりなので、リリー・フランキーに加えてピエール瀧が法廷に出てくるので何をするのかと思ってしまった。そういえば、グールドのゴールドベルクはもちろん「羊たちの沈黙」のレクター博士の愛聴曲でした。
(☆☆☆★★★)

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10月20日(日)のつぶやき

2013年10月21日 | Weblog

雨だっていうのに、出かけなくちゃいけない。


【本棚登録】『監督不行届 (FEEL COMICS)』安野モヨコ booklog.jp/item/1/B00AY7F…


嫌いな奴を登録しておくと自動的にそいつの名前や顔をテレビやPCやスマホからカットしてくれるサービスって出来ないものだろうか。


【劣化コピー】オレオレ詐欺にしてもそうだが、なんでこういう詐欺にひっかかるかなと思うよ、どうしても。 そんなの求められるってことは後はガラパゴスで言ってましたね。 rekkacopy.com


働かざる者食うべからずって、もともとは金持ってるだけで労働しない資本家爆発しろ的なプロレタリアっぽいスローガンだったのに、何時の間にか阿呆な根性論にすげ変わって、働かない労働者は死すべしっていう逆転現象が起きてるらしい。今じゃ資本家が労働者を搾取するスローガンに。

小暮 宏さんがリツイート | 122 RT

しつこいっスねえ。続編は中年になったダニーの話だっていうけど、そういえば映画でダニーをやったダニー・ロイドはどうしているのかと思ったら大学で科学教えているらしい。 a eiga.com/l/zFMPy S・キング、キューブリック版「シャイニング」を改めて批判


当時の荻昌弘の批評で、シャイニングはそれまでのキューブリック作品と違って賛否両論が時間が経っても賛の方に収斂していかないかもしれないと書いていたが、かなり当たっている。