prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「声をかくす人」

2013年05月16日 | 映画
スピルバーグの「リンカーン」では省略されていたリンカーン暗殺の後処理にまつわるドラマ。

アメリカ史上最初に死刑が執行された女性の裁判の話で、その罪というのが女性の息子がリンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースの共犯とみなされた、というもの。当人が直接に犯行に関わっていたとはいえず息子の犯行をかばったと見るのが妥当で、死刑を執行するのは明らかに行きすぎ。
行きすぎといったら、ブースをいきなり射殺してしまうのも行きすぎ。
もとより軍法会議で民間人を裁くというのも無茶な話。

これが9.11後の愛国者法の暴走のアナロジーであることは明白で、アメリカという国が攻撃を受けると報復感情が先行して超法規的措置と暴力的解決に簡単に飛びつき突っ走る典型例になっている。
昔の話である分、法的手続きが後年ほどややこしくなっておらず、懲罰的な法廷や目的が手段を正当化する欺瞞をはっきり見せられるようになっている。

フラッシュバックが絵解き的でなくかなりイレギュラーな感じで入ってくる。もともと裁判自体が証拠と論理で争われるという性格のものではなく、証拠としての再現映像であるより被告と反抗との結びつきが曖昧なものであることを控えめに示す。

レッドフォードの演出はコスチュームものということもあっていつも以上に端正で、端正すぎてアクセントがあまりないが、女性の主観で日傘をさっと開いて空が覆い隠されたり、布袋をかぶされて何も見えなくなるショットが効いている。

ケヴィン・クラインが誰だかわからないくらい酷薄な役で出演。こういう役もできるのかと驚かせる。
「声をかくす人」という邦題は意味がよくわからない。原題はThe Conspirator(共謀者)。
(☆☆☆★★★)

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声をかくす人@ぴあ映画生活

声をかくす人@Movie Walker

声をかくす人 [DVD]
監督 ロバート・レッドフォード
主演 ジェームズ・マカヴォイ
アミューズソフトエンタテインメント

5月15日(水)のつぶやき

2013年05月16日 | Weblog

今朝のあさイチ、アルコール依存を扱っていたけれど生ぬるさにイライラした。玉袋筋太郎のγ-GTPが200超えてるって、完全に入院ものでしょ。チェックテストも本式のものじゃないし。これでは「私はまだ大丈夫」と思わせるために放映したようなものだ。


それから飲んでも酔わないから大丈夫とかゲストの室井佑月が誤った知識を口にしていて、それをまた久里浜の院長先生が訂正しないのですよ。こういう時に正しい知識啓蒙しないでどうするの。NHKは酒のメーカーがスポンサーになっているわけでもないのに、この生ぬるさはどういうことかと思う。


よくある誤解で、いわゆる酒が強いというのは単に脳が慣れて量を増やさないと効かなくなっているにすぎず、肝臓の処理能力自体が高いわけではない。むしろ酒に強いからこそ依存症になるのです。


ゲストの選択間違えとんぞ。


慰安婦問題を巡る橋下氏の詭弁を見抜くためには、是非、以前にマガ9に書いた拙稿「橋下徹の言論テクニックを解剖する」を読んでみてください。magazine9.jp/hacham/111111/今回駆使しているテクニックは「前提条件を無理やりつくる」「意味内容を狭める」という方法です。

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