prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ゴーストライター」

2011年09月09日 | 映画
満席で前から二番目という結構すごい席で見る羽目になる。

冒頭ざあざあ降っている雨がその場の暗鬱な効果を出しているだけでなく、その後も雨が降り出すと不吉な予感をもたらしたり、前任者のゴーストライターの携帯やカーナビといったアイテムをたどっていくうちにその運命もなぞっていくように思えてくるあたりの暗示機能を生かした、ポランスキーのお手の物といった演出。

クライマックスの紙の上のばらばらに見えた文字がどんどん連なっていって意味を作っていき、さらに人の手から手へ紙が送られていくあたりの、一見映画的に見えない文字や紙がどんどん映画として立ち上がっていくあたりのスリル。

ユアン・マクレガーが冒頭からしきりと強い酒をひんぱんに飲んでしかも酔ったようすを見せないが、マクレガーが実生活でアルコール依存に悩まされた時期があり今やめていることを知っていて見ると何やら意味深。
いくら飲んでも酔えない焦燥感も出ている。
対する元首相役のピアース・ブロスナンが自家用ジェットの中でべろべろになっているのが対照的。

事件の真相そのものよりそこに至るプロセスの文体・タッチを楽しむ感じ。
(☆☆☆★★)

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