prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「決断の3時10分」

2009年09月15日 | 映画

グレン・フォードが悪玉、ヴァン・ジョンソンが善玉というのは見かけからすると逆みたい。
ニュー・ウェスタンあたりの善悪ごっちゃになって泥まみれになったようなのとは違うのせよ、二分法とは明らかに違うニュアンスがあってラストシーンが天気雨というのも意味深。

前半、盗賊団のリーダーと酒場の女のやりとりが、リメーク版のラッセル・クロウだとストーリーと関係ないではないかと思えたのに対し、フォードだとフェミニストぶりが印象づけられて、さらにジョンソンの家族(特に妻)と一緒に食事するシーンも用意されており、ヴァン・ジョンソンというと「シェーン」の一歩間違えたらコキュになる役でもあるので、ストーリーとは違う次元で微妙なニュアンスを出している。

保安官でもない男が金のために極悪ではない犯罪者を護送する羽目になったのにほとんど町の人間は手伝ってくれないあたり、「真昼の決闘」ばり。ドンパチはほとんどなく、ほとんど二人だけの濃密なやりとりで構成されていて、なるほどリメークよりだいぶシンプルかつ古典的。

撮影はチャールズ・ロートンjrで、屋外シーンのバックの空に微妙な陰影が出ているあたりに腕を示す。
(☆☆☆★★)